大阪→長岡 急行きたぐに : 大阪駅11番ホーム |
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昨春以来の改良工事が本格化し、2005年の大阪駅には、営業を終えた古い施設と改装を終えてオープンした施設、そして、仮設の店舗や仮覆いが無秩序に同居している。 コンコースに昔ながらの駅売店は見当たらず、まるでブティックのような店構えの構内コンビニで、アルコールと夜食を買い込む。デパ地下にも負けないくらい多彩な惣菜と、選択に戸惑うほどの酒類の中から数点を選んで会計を済ませ、私は11番ホームに向かった。 今日、これから乗るのは、急行きたぐに新潟行きである。 ダイヤ改正のたびに、懐かしい名前の夜行列車が姿を消していくなかで、この列車だけは、20年の長きにわたって夜の北陸・越後路を走り続けている。 急行きたぐにがこのサイトの旅行記に登場するのは、これで3回目である。 23時27分、列車はゆっくりと動き出した。
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大阪→長岡 急行きたぐに : 夜汽車の友 |
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大阪駅を出たきたぐには、新大阪駅で更に多くの乗客を乗せて、深夜の東海道本線を加速していく。 自由席車の乗車率は、ざっと見たところでは、30〜40%といったところか。発車直後の慌ただしさが消えた車内では、あちこちで、缶ビールの栓を抜く音がする。 今宵のつまみは、『ポークカツレツ ウィーン風』。要するに今どきのコンビニ惣菜そのもので、これを深夜自宅でチンして食べると侘しい味しかしないが、こうして夜行列車の中でつつくと妙に幸せな気分になるから不思議なものだ。 思えば、かつての夜汽車の友は、缶ビールにサキイカ、そして大判の時刻表であった。 けれども、そんな勝手気ままな汽車旅は、もはやほとんど不可能になりつつある。 周遊券がなくなり、列車に乗る前にすべての旅程を確定する必要に迫られるようになった。ローカル線やローカルバス路線が廃止が相次ぎ、時刻表に記載された乗り物だけでは到達できない観光地も増えてきた。そして何よりも、あまりに短い休暇...。 今回の旅行で、急にスケジュールが変わることがあるとすれば、(それは考えたくもないけれど)携帯電話に職場からの緊急連絡が入ったときだけであろう。 |
大阪→長岡 急行きたぐに : 8号車11番中段 |
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大津を出たところで、私は床につくことにした。 気分的にはまだまだ呑み足りない気もするけれど、深酒は健康によくない。それに、昔と違って酔っぱらいに対する世間の見方は大変に厳しいから、たとえば、揺れる車内を千鳥足で歩いて他人にぶつかろうものなら、"車内迷惑行為"として即刻車両に通報されてしまうかも知れぬ。 今夜の私の寝床は、8号車11番中段。わざわざみどりの窓口で"指名買い"したベッドである。グリーン車とA寝台車を通って、8号車に移動する。 大阪発車時に自由席に座ったのは、もちろんお酒を呑むためである。あの狭い3段ベッドでは、とてもじゃないが、飲食はできない。自由席でくつろいだあと寝台車に移動する客は少なくないとみえ、グリーン車の車掌室前で、『寝台券を拝見...』と車掌に声をかけられた。 さて、鉄道ファンにはよく知られたことだが、急行きたぐにに用いられる581/583系寝台電車では、パンタグラフの下にあたる部分の天井が多少低くなっている。上中下の3段ベッドを造るには少し空間が足りないので、その区画に限っては上段がない。中段自体は、3段式の区画と同じ高さにあるので、結果的にこの部分の中段ベッドには、贅沢な空間があてがわれるのである。 この特別に広い中段は、8号車1,2,11,12,13,14番にある。1,2,13,14番は車端にあたり、ドアの開閉が気になるかも知れない。そこで、11,12番が、急行きたぐにでは最上のB寝台ということになるのである。 |
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制作:2005年10月18日 修正:2005年8月30日