西舞鶴→天橋立 |
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北近畿タンゴ鉄道の普通列車(西舞鶴駅)
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西舞鶴で北近畿タンゴ鉄道(KTR)に乗り換える。 KTRは、旧国鉄の赤字ローカル線であった宮津線(西舞鶴-豊岡間)、それに、未成線であった宮福線(福知山-宮津間)を引き継いだ第三セクターである。 豊岡行き普通列車は、たった1両編成であった。 その優雅な車内で、私は朝食を摂ることにした。京都で買ったとんかつお弁当(630円)をひらく。戦前から京都駅での駅弁販売を手がける荻の家の調製で、俵型のごはんにトンカツとキャベツ、フライドポテト、付け合わせ少々という実用的な駅弁である。今や貴重品とも言える経木の容器に入っているので、時間がたっても、ごはんやカツがベタベタになっていないのは有り難かった。 四所という小駅を過ぎ、短いトンネルを抜けると、左手にゆったりとした由良川の流れが見えてくる。列車は河口近くまで並走したのち、全長551.79mの由良川橋りょうでこれを横切る。 丹後由良を出ると、右手に若狭湾が見えてきた。砂浜では、たくさんの人が海水浴を楽しんでいる。 京阪神の人たちにとって、若狭湾は水のきれいな海水浴場の代名詞である。かつての宮津線や小浜線には、夏休み期間中、大阪や京都から何本もの臨時列車が運転されていた。けれども、高速道路が開通した今では、海水浴はマイカーでというのが常識だろうと思う。クルマなら、重い荷物を持つ必要もないし、子供の躾に気を遣うこともない。 12時06分、宮津着。 宮津の人たちにとって、宮津と福知山を直結する鉄道は長年の夢であった。既に明治時代にその計画があったのだという。長年の夢が叶い、1966年、福知山から途中の河守までの国鉄線路の建設が始まる。1978年には宮津まで延長されることが正式に決まるが、国鉄再建計画のあおりを受けて、1980年にはあえなく工事が中断されてしまった。 けれども、鉄道を熱望する地元では、第三セクターの宮福鉄道(のちに北近畿タンゴ鉄道(KTR)に改称)を設立して、自前で工事を再開する。1988年7月、宮福鉄道宮福線として営業を開始。その後、1990年4月には、廃線となるはずだったJR宮津線の経営を引き継ぎ、現在に至っている。 天橋立という観光地を抱えるため、設備投資には意欲的で、1996年3月に、福知山-天橋立間の電化を完成させている。 架線下のレールをひと駅だけ走った気動車は、12時15分、天橋立に着く。 |
天橋立温泉 |
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天橋立駅
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『天橋立に温泉!?』と訝る方もいらっしゃると思う。つい最近、掘り当てられた新しい温泉である。 昨今のブームを受けて、温泉を観光振興の起爆剤にしようとする町や村が少なくない。 入浴料は大人600円だが、KTRの利用者は、天橋立駅で下車する際に申し出ると割引券が貰える。 施設の詳細はサイト内の別項を見ていただきたいが、観光客を意識した風情ある造りで、温泉初心者の鉄道ファンの皆さまにもお勧めできると思う。 |