上田→別所温泉 |
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上田交通別所線は、上田と別所温泉を結ぶ総延長11.6Kmの私鉄である。 すべてが一新された上田駅の片隅に、昔ながらの古びたホームがあって、ちっちゃな電車が客を待っている---私が想像していた別所線の姿だが、現実はおおいに違った。まるで大都市の近郊電車のような、真新しい高架ホームに発着しているのであった。 ホームで発車を待っていたのは、濃紺とクリームに塗られた"まるまどーりむ号"。 えんじ色のモケットの座席がほぼ埋まった状態で上田駅を出ると、"まるまどーりむ号"は真新しい高架橋の上を走る。ローカル私鉄らしからぬ光景だが、程なく赤いトラス橋で千曲川を渡ると、私のイメージ通りの小さな駅が現れた。 電車は、住宅と田んぼが混在した風景のなかを、淡々と走る。 乗客は、お年寄りや高校生が主で、一目で温泉客とわかる旅行者は見かけなかった。 車庫がある下之郷駅を過ぎると、列車はゆるやかな傾斜地を登っていく。 電車は、小さな駅にも丁寧に止まっていくが、どの駅のホームにも、カメラを手にした人がいる。電車に向かってシャッターを切る訳でもないから、鉄道写真の愛好者ではないと思うが、何かの撮影会でもあったのだろうか。 上田から約30分で、電車は終点の別所温泉駅に着く。 駅前が賑やかなのはいいことだけれど、遠来の旅行者である私に何のイベントかがわからないようでは、それを行う意味がないではないか!? ※上田交通別所線は、2005年10月1日付で分社化されて、上田電鉄(株)となった。 参考リンク |
別所温泉 |
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別所温泉は、長野でもっとも長い歴史を持つ温泉とされ、9世紀初頭に創建されたという北向観音を中心に、20軒あまりの旅館や民宿が軒を連ねている。 温泉街には、全部で3か所の外湯があるが、今回は駅にもっとも近い大湯でひと風呂浴びることにした。 別所温泉駅から、なだらかな坂道を10分弱歩くと、立派な湯屋が見えてくる。 このまま、この静かな温泉地で1泊できればどんなにいいかと思うが、もちろんそんな贅沢は許されない。今日はこのあと、特急と新幹線を乗り継いで、大阪まで帰る予定になっている。 別所温泉16時13分発の上田行きは、やはり"まるまどりーむ号"であった。
参考リンク |