山代温泉 古総湯

 山代温泉のもとの総湯があった場所に、昨秋(2010年)オープンした浴場。観光客向けに、1886年(明治19年)に改築された総湯を可能な限り再現したもので、地元観光協会では、『体験型温泉博物館』としてPRしている。

 木造2層の建物は、上層が釉薬瓦葺き、下層がこけら葺き。
 よく見ると、赤青2色の色ガラスが使われ、ペンキ塗りの手すりがついている。これは、当時、横浜や神戸に建てられた洋館にヒントを得て、温泉地のモダンで先進的なイメージを具象化したものしたものなのだという。

 番台で入浴券を差し出し、木戸を開けるといきなり浴室だ。
 独立した脱衣室はなく、湯船が見える場所に脱衣棚が設けられている。白い九谷焼のタイルが敷き詰められ、そのまん中に、凝灰岩でできた長方形の浴槽がある。
 現代の浴場のように、湯水の出るカランはなく、当時は湯船のお湯を汲んで身体を洗っていたようだ。
 壁の下半分は、模様が描かれたタイル張り。そこから上は、拭き漆仕上げという風格ある色合いの板張りだ。色ガラスが入った窓が、ちょっとおしゃれな印象を醸している。
 男女間の仕切りは単なる引き戸。どういう場合に開放されたのか聞き漏らしたけれど、あるいは、今よりおおらかな習慣があったのかも知れない。もちろん、現代の古総湯では施錠されているので、へんな気を起こしてはいけない。

 さて、肝心のお湯は、以前泊まった老舗旅館でも使われていた、山代温泉新1号源泉だ。
 源泉かけ流しは立派だが、かけ湯枡から注がれる源泉はやや少なめで、お湯がくたびれた感じだったのは残念。

 狭くて急な階段を上がると、畳敷きの休憩室がある。天井が低く、圧迫感があるが、これも、往時を忠実に再現したもの。茶湯の無料サービスもある。

 純粋にお湯を賞味するというより、そのコンセプト通り、いにしえの日本の温泉を追体験してみる施設か。

 なお、地元住民が普段利用する本来の総湯は、古総湯向かいの、廃業した老舗旅館跡地に移転、ひとあし先に開業している。

お気に入り指数:★★★★☆

施設DATA
温泉名 山代温泉
施設名 古総湯
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒922-0256 石川県加賀市山代温泉18-128(→地図)
電話番号 0761-76-0144
公式・参考サイト 山代温泉観光協会
営業時間 06:00〜22:00(毎月第4水曜日は12:00から)
料金 大人:500円、中人:200円、小人:100円
無料の備品 鍵つきロッカー
浴場施設 内湯
駐車 可能
入浴日 2011年03月27日
備考 <0360>

温泉DATA
源泉名 山代温泉(新1号源泉)(湧出地:石川県加賀市山代温泉18-120番3)
泉質 ナトリウム・カルシム-硫酸塩・塩化物泉[低張性-弱アルカリ性-高温泉]
泉温 63.2℃(気温:25.2℃)
湧出量 550L/min(動力揚湯)
知覚的試験 無色・澄明・無味・無臭
pH値 7.8
ラドン ---×10-10キュリー
密度 0.9994g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 1.298g/Kg(180℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 1.325g/Kg
分析年月日 2009年5月28日
情報源 館内の掲示(温泉分析書のコピー)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
リチウムイオン 0.1
ナトリウムイオン 323.2
カリウムイオン 9.1
アンモニウムイオン 0.1
マグネシウムイオン 0.2
カルシウムイオン 89.8
ストロンチウムイオン 0.6
バリウムイオン <0.1
アルミニウムイオン <0.1
マンガンイオン <0.1
鉄(II)イオン 0.3
鉄(III)イオン <0.1
陽イオン合計 423.4
陰イオン mg
フッ化物イオン 4.6
塩化物イオン 183.4
臭化物イオン 0.5
ヨウ化物イオン <0.1
硫酸イオン 559.4
チオ硫酸イオン <0.1
硫化水素イオン <0.1
硫黄イオン <0.1
硫酸水素イオン <0.1
炭酸水素イオン 65.2
炭酸イオン 0.3
陰イオン合計 813.4

非解離成分 mg
メタケイ酸 80.8
メタホウ酸 6.8
メタ亜ヒ酸 0.1
非解離成分合計 87.7
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 10.7
遊離硫化水素 <0.1
溶存ガス成分合計 10.7

 



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制作:2011年05月24日 修正:2013年11月08日