山代温泉 あらや滔々庵


夕食の一品


"有栖川山荘"で


朝食(一部)

 山代温泉総湯の目の前にある老舗旅館。

 木造二階建ての高級料亭のような外観。館内は総畳敷きで、玄関で靴を脱いだあとはスリッパなし。そのまま客室に案内され、そこでチェックインの手続きをする。団体客でごったがえす巨大温泉旅館とは正反対の、プライベート感覚の宿である。
 翌朝気づいたのだが、二階建ての背後に高層の客室棟がある。客室棟は黒く塗られていて、一瞥しただけではわからない。規模の大きさをPRする旅館は少なくないが、意図的に建物の存在を隠している宿は珍しい。

 宿のすぐ隣が山代温泉の配湯所。その湯は私の期待を裏切らないものであった。

 大中2か所の浴場(露天風呂つき)のほか、"烏湯"と称する特別浴室があり、時間を区切って男女入れ替え制になっている。すべての浴槽が源泉かけ流しだ。

 "烏湯"は、お湯そのものを愉しむための浴室で、極端に照度を落とした室内に、熱めとぬるめの2つの浴槽がある。休憩用の椅子はあるが、洗い場はない。
 源泉かけ流しに+αの要素を盛り込んだ新しい試みだとは思うが、あまりに前衛的すぎて、凡人の私にはその価値がよくわからない。

 普通に素晴らしいと思えたのは、小さい方の浴場(写真)。内装は平凡だが、中庸の大きさの浴槽から、少し硬い感じのする透明な湯が溢れている。
 露天風呂はとってつけた感じが否めず、まあ、ないよりあったほうがいい---という程度であった。

 食事は部屋出し。無駄に豪華すぎない、上質な日本料理。一品ごとに運ばれるシステムで、調理したてを味わえる。大変な手間だが、ワンフロアの部屋数が2つか3つなので、客室係の動線は最小限で済んでいる。

 夕食が済んで、もう1回風呂に入ったあとは、『有栖川山荘』に行ってみることにした。明治初期に建てられたという離れで、今はバーとして営業している。水割りを舐めながら、ゆるやかに流れる時間を過ごすことができた。

 翌日は、朝風呂を楽しんだあと、9時から遅めの朝食。温泉粥が旨い。そのあと最後に4回目の湯浴みをして、11時にチェックアウトした。

 上質の湯宿はこうあるべし---と思えた旅館であった。大切な人とたまの贅沢をするには最高の宿だと思う。

お気に入り指数:★★★★★

施設DATA
温泉名 山代温泉
施設名 あらや滔々庵
施設の種別 旅館
所在地 〒922-0242 石川県加賀市山代温泉18-119(→地図)
電話番号 0761-77-0010
公式・参考サイト 北陸山代湯の曲輪 あらや滔々庵
営業時間 (宿泊で利用)
料金 (宿泊で利用)
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー・バスタオル・タオル・館内着・綿棒・化粧品
浴場施設 内湯
駐車 可能
入浴日 2009年12月23日
備考 <0327>

温泉DATA
源泉名 山代温泉(新1号源泉)(湧出地:石川県加賀市山代温泉18-120番3)
泉質 ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉[低張性-弱アルカリ性-高温泉]
泉温 64.3℃(気温:21℃)
湧出量 660L/min(掘さく・動力揚湯)
知覚的試験 無色澄明殆ど無味無臭
pH値 7.86
ラドン ---×10-10キュリー
密度 0.9992g/cm3(4℃)
蒸発残留物 1.267g/Kg(110℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) g/Kg
分析年月日 2003年10月6日
情報源 脱衣場の掲示(温泉分析書)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
ナトリウムイオン 327.0
カリウムイオン 9.5
アンモニウムイオン 0.2
マグネシウムイオン 1.0
カルシウムイオン 79.4
アルミニウムイオン 0.05未満
マンガンイオン 0.05未満
鉄(II)イオン 0.05未満
鉄(III)イオン ---
陽イオン合計 417.1
陰イオン mg
フッ素イオン 5.1
塩素イオン 186.5
硫化水素イオン 0.1未満
硫酸イオン 587.1
炭酸水素イオン 64.7
炭酸イオン 2.4
メタケイ酸イオン ---
メタホウ酸イオン ---
陰イオン合計 845.8

非解離成分 mg
メタケイ酸 41.6
メタホウ酸 6.9
メタ亜ヒ酸 0.1
非解離成分合計 48.6
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.1未満
遊離硫化水素 0.1未満
溶存ガス成分合計 ---

 



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制作:2010年01月14日 修正:2010年01月19日