湯巡りトロッコとスイッチバックの旅


スーパーはくと5号(京都駅)


1番D席の眺望


普通車



次から次へとやってくる列車

スーパーはくと

京都→上郡

 京都駅6番ホームに待ちに待った列車が入線してきた。特急スーパーはくと・倉吉行きである。

 先頭車は見事な流線形。フロントガラスは、畳二畳ぶんはあろうかと思われる1枚モノで、前方展望は抜群だ。こうした"展望車"は指定席車となるのが通例だが、下りスーパーはくとの先頭車は自由席となっている。もう、これはカブリツキに座るしかない----そう考えた私は、早々にホームに並んでいたのである。

 さすがに、発車1時間前から列車を待っている人はいなかった。私がホームに来た5分後、大原に行くというおばはん2人が並び、行列は3人になった。話を聞くと、指定席が売り切れのため、心配になって早くから駅に来た由。

 その後、行列は伸びると期待されたが、入線5分前になっても総勢3人のままで、私は少々落胆した。
 入線数分前、親子4人の家族連れが列に加わる。小学校低学年とおぼしき男の子が目を輝かせており、彼は間違いなく私のライバルであろう。
 いい年齢した大人が小学生と争う訳にはいかないし、これ以上子供が来ると困った事態になると危惧したが、結局、それは杞憂に終わった。

 彼は母親と共に運転席直後の1番A・B席に座り、私は進行右側の1番D席を確保。思っていたとおりの素晴らしい眺めである。

 低速で京都駅構内を抜け出した列車は、西大路駅あたりから猛然と加速する。エンジンのかすかな振動と騒音さえなければ電車と勘違いするような、直線的な加速である(→京都出発時のアナウンス)。

 さっそく車内販売がやってきたので、コーヒーを注文。"アベ鳥取食堂"という名札をつけた男性販売員は、『始発駅の特権ですね』とほほ笑みながらカップを渡してくれた。

 ビルや住宅がびっしり建ち並ぶ阪神間の方向別複々線を駈け抜けたあと、須磨から左手に海を眺めつつ走る。
 やがて、前方に明石海峡大橋が見えてきた。車内にその案内放送が流れるが、あいにくの曇天で空とのコントラストが小さく、別に感動するほどの風景ではない。

 列車は高架に駆け登り、明石着。京都からの親子連れはここで下車した。子供にせがまれての特急試乗だったのだろうか。京都-明石の自由席特急料金は940円だが、眺望料金として決して高くはないとも思う。

 西明石からは複線区間となるが、さすがに天下の山陽本線だけあって、上り列車が次から次にやってくる。おなじみの223系や221系のほか、115系電車ともすれ違った。無論、貨物列車も走っていて、まったく退屈することがない。

 高架化工事真っ最中の姫路を過ぎると、車窓に見える住宅がめっきり少なくなって、代わりに田畑が目立つようになる。

 12時41分、上郡着。

続く

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2003年10月16日 制作 2003年10月20日 修正