中在家信号場を通過する下り列車(折り返し線停車中の232Dから)
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■関西本線■加茂→伊賀上野加茂からは、キハ120型気動車2両の列車に乗り換えて、更に東へと向かう。 加茂駅には、つい数年前まで、古い木造駅舎や跨線橋が残されていたが、今はこざっぱりとした橋上駅となっている。同時に構内配線の変更が行われて、亀山方面からの気動車が折り返す単線の線路を電車用の島式ホーム2面が挟み込むかたちとなった。 電車から気動車に乗り継ぐ乗客は予想外に多く、大勢の立ち客がいる状態で加茂を出た。 加茂を出た列車は、木津川左岸の崖にへばりつくように敷かれた線路を走る。笠置で下り列車と交換したあと、古典的なトラス橋で木津川を渡る。 伊賀上野は、近鉄伊賀線が接続する拠点駅で、再び下り列車と交換。近鉄のホームに目をやると、ちょうど"忍者電車"が到着するところであった。なかなか連絡がいい。と言うか、JR・近鉄双方ともに、1時間サイクルでパターン化されたダイヤを編成して、相互の連絡をはかっているようである。 ■伊賀上野→亀山 伊賀上野を出た列車は、平坦な伊賀盆地を快走する。 伊賀盆地が尽きるところが柘植である。草津線の電車とほぼ同時に入駅する。 さて、柘植で1日1往復の急行列車とすれ違った列車は、この先にあるスイッチバック式の中在家信号場で退避を行う。現行ダイヤでは、中在家信号場での交換は1日たったの3回しかない。 いい年齢をしたおっさんが、小学生とカブリツキを取り合うのはさすがにみっともない。私にだって、一応の分別はある。けれども、ここから先は、今回の旅行の大ハイライトであるから、やっぱり景色を見たい。 幸い彼は運転士のハンドル捌きに興味があったようで、貫通扉前に立ってくれた。私は助手席側に立ち、2人で仲良く前方展望を分け合うことにする。 柘植を出た列車は、ほどなく古風な石積みポータルの加太トンネルに突入し、25パーミルの下り勾配区間に入る。列車はぐんぐん加速するが、注意信号を現示した中在家信号場の上り場内信号機が見えると、運転士は慎重にブレーキをかける。十分に減速したうえで、列車は進行左手の引き上げ線へ進入、停車。運転士は窓から大きく身を乗り出して信号を確認、バック運転で折り返し線に入った。 やがて、夏草の向こうに、2本の淡い排煙が見えてきた。我が列車とすれ違う下り列車である。こちらと同じキハ120の2両編成で、エンジン音も高らかに、柘植方に走り去っていった。 対向列車が去ると、すぐに出発信号機が進行現示となった。初老の運転士はつぶやくように指差喚呼してから、列車を本線へと進めた。 列車は、蒸機時代の著名な撮影地である大築堤を軽やかに駈け抜け、加太に停車。ここから先は、加太川に沿って線路が続く。名阪国道の下をくぐると、程なく亀山である。草ぼうぼうのヤード跡を右手に見ながら、列車は風格ある亀山駅のホームにすべりこんだ。 |
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2003年8月11日 制作 2003年8月19日 修正