新関で
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■日野橋-新関日野橋を過ぎると、車窓には田畑が目立つようになる。岐阜の市内電車から、郊外電車に乗り移った感覚だ。運賃のほうも、日野橋までは1回170円の均一制だが、ここから先は距離制になる。 ずっと並走していた国道156号線が遠ざかると、下芥見。ここで、対向電車の運転士から、スタフが手渡される。美濃町線の末端部分では、今でも古典的な閉塞方法が採用されているのである。 岐阜市と関市の市境を跨ぐ下芥見-白金間は、現代の都市近郊とは思えぬ枯れた車窓風景が展開する。 白金で対向電車とすれ違ったあと、電車は再び国道156号線に寄り添いながら、新関を目指す。沿線には自動車販売店がコンビニなどが散在するけれど、いずれも自動車でやってくる客が相手で美濃町線の存在は何の関係もないといった表情であった。 周囲を威圧するようにそびえる東海北陸自動車道の下をくぐると、程なく新関に着く。 新関は、タクシーも待機する美濃町線の拠点駅だが、駅周辺はどうも活気がない。と言うより、時折クルマが行き交う以外に、駅前通りを歩く人の姿は見かけない。 ■新関-関 かつて、名鉄美濃町線は、その名のとおり美濃市まで続いていた。 新関-美濃市間の廃止に際しては、並走する長良川鉄道にその機能を代替させることになり、美濃町線との連絡をはかる目的で、新関-関間の線路が新設された。赤字鉄道路線を廃止したあとは、代替路線バスを運転---というのが一般的だけれど、鉄道を鉄道で代替する例はめずらしい。関駅に乗り入れることによって、引き続き岐阜との間の鉄道交通を維持しようという戦略だ。 新関を出た関行きは、左に右に大きく曲がったあと、広い道路を踏切で横断する。更に左に急カーブを曲がると、そこがもう終点であった。 長良川鉄道関駅の本屋は線路の東側、つまり、新関とは反対側にあるので、美濃町線の"新線"は、ちょうど裏口から進入するような形になっている。連絡改札はとくになく、数人の乗り継ぎ客が長良川鉄道のホームに向かった。 少々淋しい人数ではあるが、当初の目論見は一応功を奏しているようではあった。 |
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2004年6月27日 制作 2004年6月27日 修正