名鉄田神線


新岐阜駅で


美濃町線専用改札口
(新岐阜駅)


名鉄新岐阜駅


新岐阜駅前で

名鉄田神線

 本日、最後の試乗は、名鉄田神線。美濃町線の電車を新岐阜駅に直通運転する目的で1970年に開設された路線である。
 現在、新関発の上り電車はすべて田神線経由の新岐阜行きで、実質的には美濃町線の一部となっている。

 新関方面から来た電車は、競輪場前の信号扱い所を見ながら大きく左に曲がる。しばらく道路中央に敷かれた単線の軌道を走り、右に曲がったところが市ノ坪。今日乗ってきた岐阜市内線・揖斐線・美濃町線を走る電車の整備を行う工場が併設されている。

 市ノ坪を出ると、左手から複線の線路が近づき、やがて合流する。1500V電化の立派な鉄道線路を路面電車規格の小型車両が走るさまは、なかなかユニークだ。

 雑多な家屋が立ち並ぶ岐阜の下町を少し走ると、もう、終点の新岐阜である。夕方の上り電車ということもあるけれど、下車した客は10人もいなかった。

試乗を終えて

 今回レポートした各線("名鉄600V区間")は、毎年巨額の赤字を生んでおり、既に名鉄から廃止の届けや申請が提出されている。計画では、2005年3月末をもって、すべての路線の営業を終える予定である。

 今回、各線に乗って感じたことは、名鉄は、利便性の向上のために、相応の努力をしてきたということだ。
 一般に、廃止届が提出された路線というと、廃車寸前のオンボロ車両が1時間に1本来るだけ...という印象を持つ。けれども、実際の"名鉄600V区間"は、多く車両は新しく快適なもので、日中もネットダイヤを組んでいるほどの高頻度運転であった。

 けれども、鉄道事業者がこれほどまでの努力をしても、市民を振り返らせることはできなかった。

 たとえば、路面にペンキで描かれただけの電停。
 まっとうな安全地帯を設置するのに要するコストは、恐らく大した金額ではないと思う。それが今日まで実現しないでいるのは、現状の電停施設に不満を感じる人よりも、路上に邪魔な障害物が出来ることを快く思わない人が圧倒的に多いからではないか。
 つまり、岐阜のごく普通の市民は、たとえ渋滞があろうとも、マイカーの利便性は、路面電車のそれを大きく上回っていると受け止めているのである。

 名鉄から、廃止を突きつけられた地元自治体では、他の鉄道事業者による営業肩代わりの道を模索したりしているようだが、"何が何でも路線を残そう"という熱意は、あまりないようにも見受けられる。
 鉄道があればいいことはわかっているが、その維持に要する巨額の費用を考えると、果たして市民全体の理解を得られるのか---という迷いがあるに違いない。

 鉄道ファンの立場から言えば、古い地方軌道の面影を今に伝える"名鉄600V区間"は、大変貴重で興味深い存在ではあるけれど、鉄道は、ファンのために存在している訳ではない。
 利用者に受け入れられない鉄道は、やはり静かに消えるしかないというのが、今回の試乗の感想である。

参考リンク

この項先頭に戻る


Copyright by Heian Software Engineering (C)H.S.E. 2004 Allrights reserved.
2004年6月27日 制作 2004年7月2日 修正