名鉄岐阜市内線


新岐阜駅前で


車内の様子


対向電車とすれちがう


忠節橋を渡る

岐阜市内線

 2004年6月13日14時すぎ、快晴のJR岐阜駅に降り立った私は、歩いて名鉄新岐阜駅に向かった。

 これから試乗を予定している名鉄岐阜市内線は、岐阜駅前と忠節を結ぶ全長3.8Kmの路面電車である。起点の岐阜駅前停留所は、再開発工事に伴って昨年暮れから営業休止となり、現在はひとつ先の新岐阜駅前が始発駅となっている。

 新岐阜駅に向かう通りは思いのほか狭く、多くのクルマで渋滞ができている。
 市内各地に向かう路線バスもひっきりなしに走るが、道の真ん中に妙に大きなバスが止まっているな...と思って眺めたら、屋根にパンタグラフが載っていた。どうやらこれが、黒野行きの名鉄電車らしい。
 窓回りを緑色に塗った白い車体。"名鉄=赤い電車"という先入観を持っていた私は、ちょっと意表を突かれた思いがした。もっとも、子細に観察すると、どこか野暮ったいデザインと腰部のスカーレットが名鉄の体臭を醸し出している。

 けれども、これほど簡素な"始発駅"は、見たことがない。路面にそれらしい区画が描かれてはいるだけで、屋根やホームや看板は一切ない。電車がいなければ、そこが電停であることに気づく人はいないであろう。

 赤信号で停車したクルマの間をすり抜けるようにして、ポツリポツリと客が集まる。そして、その数が10人ほどになった頃、どこからともなく運転士が現れて、発車。
 "ひゅいーん"というVVVF特有の唸りが聞こえ、電車は静かに動き出す。ガタピシ揺れる路面電車のイメージとはまったく異なる快適な乗り心地である。

 酷い渋滞は新岐阜駅前付近だけで、電車は案外スムーズに走った。時折、右折する自動車に進路を阻まれるけれど、イライラすることはない。もっとも、それは私の乗車目的が特殊だからであって、毎日、この電車に乗る人は、右折車や駐車車両を交わしながら走り抜ける自動車を恨めしく思うかも知れない。

 電車はワンマン運転となっているが、"降車ボタン"はない。各停留所では必ず停まってドアを開ける。どの停留所も新岐阜駅前と同じ造り。つまりは、路面にペンキで区画を描いただけのもの。まともな乗降設備がないから、客は線路から離れた歩道で電車を待つ。だから、いちいち停車しないことには、乗車客の有無がわからないのである。

 立派なトラス橋(忠節橋)で長良川を渡ると、電車は大きく左に曲がり、忠節に到着。電車は、ここから、名鉄揖斐線に入る。

 

続く

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2004年6月27日 制作 2004年6月27日 修正