尾小屋鉄道は、鉱山町であった尾小屋と国鉄小松駅に隣接した新小松を結ぶ全長16.8Kmの私鉄です。
非電化のナローゲージ鉄道(軌間:762mm)としては我が国最後の路線でしたが、1977年3月19日の営業を最後に廃線となっています。廃止間ぎわには、古き時代の軽便鉄道の雰囲気が残るローカル私鉄としてファンの注目を浴びたようで、当時の写真がいま多くのウェブサイトで公開されています。
私は現役時代の様子は知らないのですが、往時の写真を見ているうちに、ぜひ現地に行ってみたいと思いはじめました。去る10月10日(2005年)、北陸地方の温泉を巡る機会があり、尾小屋を訪問できたので、その様子を簡単にレポートします。
※本稿の写真はすべて2005年10月10日に私が撮影したものです。
尾小屋鉱山 |
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尾小屋鉱山は、白山山系の懐にある銅・亜鉛鉱山で、1682年の開山から1962年の閉山まで、約300年の歴史がある。
往時の建物はほとんど残っていないが、県立尾小屋鉱山資料館で、かつての鉱山の様子を知ることができる。 |
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尾小屋鉱山資料館の内部。 各種鉱石のサンプルや鉱内で使われた道具などが展示されている。 1919年に開業した尾小屋鉄道は、鉱山で産出・精錬された産出物の輸送手段として活躍した。現役当時の制服や乗車券、スタフなどが保存されている。
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尾小屋マインロード。
旧坑道を利用した資料館の付属施設で、坑内作業の様子を知ることができる。 ポータル部分に積まれた六角形のブロックは"からみ"と呼ばれ、銅の製錬工程で出る副産物なのだそうだ。
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小松市立ポッポ汽車展示館 |
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尾小屋鉱山資料館の近くにある小松市の施設。同市が所有する旧尾小屋鉄道の車両3両が展示されている。 冬場の豪雪から車両を守るために木造の立派な上屋があるが、注目すべきは、レールが上屋の外まで敷設されているということ。 |
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5号蒸気機関車(1949年 立山重工業(株)製)。
我が国で新製された最後の蒸気機関車と言われている。 |
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ハフ1(1918年 名古屋電車製作所製、手前)とキハ3(元遠州鉄道奥山線1803、1949年 汽車製造(株)製)。 |
旧尾小屋駅跡 |
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鉱山が消えて40年あまり。尾小屋の集落はひっそりと静まりかえっていた。 かつて、商店が軒を連ねたと思われる通りは空き地だらけで、わずかな民家が残るのみとなっている。 |
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旧尾小屋駅跡。
廃線後しばらくは駅舎が残っていたようだが、豪雪に耐えきれずに倒壊し、姿を消したときく。 旧型の赤いポストと民家は、尾小屋鉄道があった当時からのもので、ウェブ上で公開されている往時の写真にもしばしば写っている。 |
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旧尾小屋駅構内。
野ざらしのまま朽ちゆくのは、DC122型ディーゼル機関車。 奥にある2棟の小屋には、赤門軽便鉄道保存会が所有する気動車(キハ2)と客車(ホハフ3)が保存されているらしい。 |
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制作:2005年11月4日 修正:2005年11月8日