平湯温泉　平湯の湯

　平湯温泉街にある露天風呂。平湯民俗館と称する、伝統的な民家などを移築した展示施設の中にある。
　古い情報では、有料の民俗館入場者に限って入浴可能---となっているが、2012年現在、民俗館は入場無料、露天風呂は寸志で入浴可であった。

　まずは合掌造りの建物を見学。内部には、民具などが展示されている。いろりの煙に燻された梁や柱は異様に太く、冬場の雪の多さをうかがい知ることができる。

　奥飛騨のむかしの暮らしを勉強したあと、本命のお湯を賞味することにする。

　深い緑のなかに、わりと広い脱衣小屋があった。屋根がかかった露天岩風呂があり、大量の湯がかけ流しになっている。先客はおらず、新鮮な湯を独り占めである。
　湯船に注がれるのは、『おばこ原の湯』。神の湯と同系統の、わずかに濁った湯だが、こちらのほうが鉄の含有量が多いようで、湯船や床はまっ茶色に染まっている。口に含むと強い金気と平湯共通の硫黄臭を感じた。
　源泉温度:66℃、湧出量:350L/minの含重曹食塩硫黄泉らしいが、温泉成分の掲示は見かけない。

　風呂上りには、前述の合掌造りで休憩可。蕎麦などの軽食や飲み物もいただくことができる。

　平湯の立ち寄り湯は、多彩な施設を揃えたひらゆの森が圧倒的な人気を誇るが、静かに安くお湯を愉しみたい向きには、穴場的存在と言えよう。

お気に入り指数:★★★★☆