剣の湯　ドーミーイン富山

　富山市にある天然温泉つきビジネスホテル。

　何はともあれ、浴場の写真3枚をご覧いただきたい。
　高級温泉旅館の浴場という説明文があっても、疑う人はいないであろう。しかし、これが県庁所在都市中心部にある、1泊5,000円のビジネスホテルの大浴場なのである。

　照度を落とした浴室は、木と石を使ったシックな造り。大小2つの浴槽がしつらえられている。ビルの2階にある浴場ゆえ、開放感こそないものの、冷たい外気に触れられる露天風呂もある。

　こう書くと、"内装には騙されないぞ"と身構える温泉ファンもいらっしゃると思う。実は私も最初はそう考えた。ところが、浴槽から溢れる湯を見て、これは尋常な温泉浴場でないことを知ることになる。

　水風呂以外の全浴槽からは、我が目を疑うほどの大量のオーバーフローがあり、轟々と音をたてて排水溝に消えていくではないか。これほど豪快なお湯の使い方をしている温泉浴場は見たことがない。

　お湯は、金沢の金城温泉にも似た、飴色に透き通ったモール泉で、pH8.8という高いアルカリ度がある。分類上は単純温泉だが、重曹成分が多く含まれており、肌がすべすべになる上質の温泉であった。
　脱衣場の掲示によれば、源泉は毎分1290L(わずか10秒でドラム缶1本が満杯になる途方もない数字である!)もの湧出量を誇る自噴泉とのこと。若干の加温をしているようで、源泉温度は42.5℃となっている。

　客室には、トイレとシャワーがあるだけで、バスタブはない。これには少々面食らったが、考えてみれば、これほど素晴らしい温泉があるホテルに、窮屈な風呂など必要ないのだ。

　ウェットなサービスがウリの温泉旅館も悪くはないが、たまには、こんなホテルで気ままな温泉三昧の休日を過ごすのもいいなと思う。

　館内の食事処は朝食専用だが、総曲輪(そがわ)や桜木町は目と鼻の先だし、10分も歩けば、JR富山駅前の呑み屋街だ。新鮮な日本海の魚介と旨い酒を出す店はいくらでもある。全客室LAN完備で、毎日ネットを見ないと落ち着かない人も心配ない。もちろん、風呂はオールナイトで入浴可能である。

　富山に泊まるなら絶対ココ----と言える、超オススメホテルである。

お気に入り指数:★★★★★