金城温泉元湯

 金沢市とその周辺には、モール泉と呼ばれる褐色の温泉が湧いている。

 モール泉は、地中深くに埋もれた太古の植物がゆっくりと分解してできるフミンという物質がお湯に溶けたもの。生物由来物質を含む温泉はめずらしい。

 金沢市街の西郊、金沢西IC近くにある金城温泉は、そのモール泉を源泉かけ流しで提供している日帰り入浴施設だ。

 住宅や町工場などが混在した一角に、ややくたびれた感じの2階建てのビルがある。節電のためか照明が落とされ、ロビーは妙に薄暗い。『廃業したのか!?』と中の様子を伺っていたら、『いらっしゃいませ』と声が掛かった。

 ご覧のとおり、かなり広い浴室に多彩な浴槽がある。水風呂を除くすべての浴槽で温泉が使われているが、中でもすばらしいのが中央にある主浴槽だ。
 38.0℃という絶妙な温度のぬる湯。麦茶のような、褐色の透き通った湯が、非加熱・非加水でかけ流されている。しばらく目を閉じて、夢見心地の湯浴みを楽しんだが、ふと我に返ると、肌にはびっしり細かい気泡が付いているではないか。新鮮なお湯を丁寧に扱っている証拠で、思わず一人でほくそ笑んでしまった。

 階段を上がったところには、木製の露天風呂もある。眺望はきかないが、太陽光を浴びた湯は飴色に輝いて見えた。

 ロビーに掲げられた温泉分析書によれば、泉質としては含食塩重曹泉。モール泉は、相当量の有機物を含むらしいが、重曹泉特有のさっぱりした浴後感であった。

 休憩室はないが、ロビーには何脚ものソファがある。石鹸、シャンプー、タオルに下着まで販売されているので、手ぶらでも入浴可能である。

 公定銭湯料金で、こんないい温泉を楽しめる金沢の人が羨ましい。また行きたいと思う。

お気に入り指数:★★★★★

施設DATA
温泉名 金城温泉
施設名 金城温泉元湯
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒920-0353 石川県金沢市赤土町ト100-2(→地図)
電話番号 076-268-2601
公式・参考サイト ---
営業時間 10:00〜23:00(日曜日は07:00から、毎週火曜日定休)
料金 大人:270円、中人(小学生):130円、小人:50円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー
浴場施設 主浴槽、露天風呂、水風呂、ジャグジー、サウナ(別料金)
駐車 可能
入浴日 2005年10月10日
備考 <0180>

温泉DATA
源泉名 金城温泉1号源泉(湧出地:石川県金沢市赤土町ト100-2)
泉質 ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
泉温 38.0℃(気温:23.2℃)
湧出量 234L/min(動力揚湯)
知覚的試験 黄褐色澄明、微甘味で硫化水素臭を有する
pH値 8.1
ラドン ---×10-10キュリー
密度 0.9998g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 1.193g/Kg(130℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 1.506g/Kg
分析年月日 1980年9月10日
情報源 ロビーの掲示(温泉分析書のコピー)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
リチウムイオン 0.1
ナトリウムイオン 422
カリウムイオン 23.4
アンモニウムイオン 2.0
マグネシウムイオン 0.7
カルシウムイオン 6.9
クロムイオン 0.1
バリウムイオン 0.1
アルミニウムイオン 0.1
マンガンイオン 0.1
鉄(II)イオン 0.1
亜鉛イオン 0.0
陽イオン合計 455.5
陰イオン mg
フッ素イオン 0.9
塩素イオン 305
臭素イオン 0.0
ヨウ素イオン 0.0
硫酸イオン 0.1
ヒドロリン酸イオン 0.7
メタ亜ヒ酸イオン 0.0
ヒドロ炭酸イオン 652
炭酸イオン 0.0
陰イオン合計 958.7

非解離成分 mg
メタケイ酸 76.3
メタホウ酸 15.9
非解離成分合計 92.2
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 11.2
遊離硫化水素 0.2
溶存ガス成分合計 11.4

 


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制作:2005年10月11日 修正:2005年10月13日