山鹿温泉 露天湯椛


施設全景。目立つ看板は見当たらない。


管理室


たっぷりの源泉を独り占めできる...

 山鹿市は、熊本市から国道3号線を小一時間ほど北に行ったところにある農業の町である。噴煙たなびく阿蘇山からはかなり離れているが、ここにも温泉が湧いている。

 山鹿温泉は、約800年前に発見されたと伝えられ、『山鹿千軒たらいなし』と言われるほどの豊富な湯量が特徴だ。市街地には何軒かの温泉旅館があるが、家族湯だけで営業する温泉公衆浴場も少なくない。

 私の知る限り、家族湯専門という公衆浴場は、九州にしかない業態である。果たして、いったいどういうお風呂なのか。九州訪問に際しては、ぜひ、体験したいと思っていた。

 今回訪れたのは、露天湯椛(もみじ)。昨年開業したばかりの家族湯専門浴場である。
 幹線道路から離れた、田んぼのまん中にあり、目立った看板がないのでアクセスにはちょっと手間取る。

 田んぼのなかに、日本瓦葺きの長屋風の建物がある。
 いちばん右端が管理室になっていて、ここで料金を払ってお目当ての個室に入る仕組みだ。趣向を凝らした10の個室があり、料金は1回(50分)1,000円から1,500円となっている。

 個室に入ると、畳3帖ほどの大きさの湯船に、猛烈な勢いでお湯が注がれていた。それは、私がこの日最初のお客だったからではなく、1回ごとに従業員が浴室を清掃し、お湯を入れ替えるシステムとなっているからである。つまり、お客はいつでも、まっさらの温泉を賞味できるのだ。

 数分して湯船がいっぱいになったところで、秋の陽を浴びて透明に輝く湯に飛び込む。おお、何という滑らかな湯。一瞬にして肌がぬめぬめになってくるのがわかる。
 管理室に掲げられた表示によれば、泉質自体はアルカリ性単純温泉なのだが、pH9.71という高いアルカリ度に加えて、湯が新鮮な故に、驚くべきぬめりを呈するのだろうと思う。

 全国的に『肌がすべすべになるアルカリ性単純温泉』をウリにする施設は少なくないが、実は、空気に触れたアルカリ性単純温泉は、短時間のうちに中性になってしまうのだという。だから、換水しない循環式のアルカリ性単純温泉なんぞはほとんど虚偽表示に等しいののだが、それはさておき、この湯に入ると、空気にも、他人の肌にも触れていないアルカリ性単純温泉の真価がわかると思う。

 最後に興味があったのは、いったいどんな人がこうした家族湯を利用するのかということ。この日(土曜日午前中)、私が見かけたのは、つぎの4組であった。

1) 地元ナンバーの高級車で乗り付けた初老の夫婦(合計2人/組)
2) 幼い男の子を連れた若いカップル(合計3人/組)
3) 軽自動車でやってきた中年のおっさん(合計1人/組)
4) 小太りの中年オバハン(合計1人/組)

 家族湯に一人で入浴する客が少なくなかったのには驚いたが、この新鮮な湯を50分独占する権利:1,000円は、決して高くはないと思う。

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施設DATA
温泉名 山鹿温泉
施設名 露天湯椛
施設の種別 日帰り入浴施設(家族湯専門温泉浴場)
所在地 熊本県山鹿市中1326-11(→地図)
電話番号 0968-43-3026
公式・参考サイト 露天湯椛
営業時間 10:00〜26:00(最終受付 25:30、毎週火曜日は17:00営業開始)
料金 1室1,000〜1,500円/50分
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー
浴場施設 (家族湯10室)
駐車 可能
入浴日 2005年9月24日
備考 <0173>

温泉DATA
源泉名 ---
泉質 アルカリ性単純放射能温泉[低張性-アルカリ性-高温泉]
泉温 52.1℃
湧出量 ---L/min
知覚的試験 ---
pH値 9.71
ラドン 42.3×10-10キュリー
密度 ---g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 ---g/Kg
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.2272g/Kg
分析年月日 1996年3月28日
情報源 管理室の掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
リチウムイオン 0.1
ナトリウムイオン 67.0
カリウムイオン 0.4
カルシウムイオン 0.8
アルミニウムイオン 0.1
陽イオン合計 68.4
陰イオン mg
フッ素イオン 4.9
塩素イオン 5.6
水酸イオン 0.9
硫化水素イオン 1.7
硫酸イオン 21.2
炭酸水素イオン 30.6
炭酸イオン 42.1
メタケイ酸イオン 50.5
メタホウ酸イオン 1.3
陰イオン合計 158.8

非解離成分 mg
メタケイ酸 ---
メタホウ酸 ---
非解離成分合計 ---
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 ---
遊離硫化水素 ---
溶存ガス成分合計 ---

 


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制作:2005年10月4日 修正:2005年10月30日