ジェームス山天然温泉 月の湯舟 |
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ジェームス山は、神戸市垂水区にある外国人向け高級住宅地である。 月の湯舟は、その一角にある日帰り入浴施設だ。 打ちっ放しのコンクリートと広いガラス窓が印象的な現代建築。控え目な看板に気づかなければ、この建物が温泉浴場であるとわかる人はいないであろう。内部は白を基調としたモダンな造りで、これまた並みのスーパー銭湯とは一線を画している。 浴場(内湯)はタイル張りの極めてシンプルかつ平凡な設計であった。外観やロビーが凝りに凝ったデザインであっただけに、少々がっかりした。主浴槽とジャグジー、サウナ、水風呂があるが、いずれも温泉水は使われていない。 神秘的な宇宙のリズム---満ち欠け・満ち引きをくりかえす"月"と"海"がこの施設のメインテーマらしいが、これを具象化したのが露天エリアであって、この施設の目玉でもある。 なかでも、"望の湯"と命名された露天浴槽には、思わず息をのむほど魅惑的な湯が満たされている。若干の蒼みを帯びた白い濁り湯。匂いはないが、重曹泉特有のとろんとした感触も残っている非常に個性的なものだ。私の知る限り、関西のスーパー銭湯で、これほど美しい濁り湯は見たことがない。 もともと、源泉自体は白濁する泉質であったそうだが、配管にスケールが沈着するため、これまではやむなく取り除いていたらしい。しかし、その後の研究で、濁ったままの湯を扱う技術が確立され、この春(2005年4月)から、見事な濁り湯を提供できるようになったのだという。 脱衣場に掲げられた分析書によれば、カルシウムイオンのほかに、炭酸ガスを多く含んでいる。恐らく、地中深くから汲み出す際の圧力変化で、炭酸カルシウムの結晶が析出するのではなかろうか。"白い濁り湯"と言えば長野県白骨温泉が有名だが、ここの湯も思いのほか多くの炭酸ガスを含んでいる。 もうひとつの目玉である露天海水風呂は、"朔の湯"と呼ばれている。一見したところは平凡な岩風呂だが、そこに満たされているのは、垂水の海岸から運んできたという海水だ。鼻を近づけても、いわゆる"磯の香り"は感じないが、口に含むと海水そのものの味がした。 "望の湯"と"朔の湯"に交互に浸かって、体内に宿る母なる宇宙のリズムを取り戻して下さい---というのがコンセプトなのだが、実際には"望の湯"の人気が圧倒的に高いようであった。 これら2つの浴槽のほかに、"寝待ちの湯"と呼ぶ寝湯がある。ここに使われているのも温泉だというが、無色透明の平凡な湯で、個性的な浴感は感じなかった。 湯上がりには、お洒落なセルフ式レストランで、淡路島や瀬戸内の食材を使った食事を愉しむことができる。 いかにも神戸らしい、超モダンなスーパー銭湯。殊に白い濁り湯は、他に例をみない非常に魅力的なものだ。いずこも同じ和風入浴施設に食傷気味の方には、特にオススメしたいと思う。 お気に入り指数:★★★★☆
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制作:2005年5月20日 修正:2005年5月22日