白骨は、去年(2004年)の『インチキ温泉騒動』の発端となった温泉地である。
こんなことを書くと非難のメールが届きそうだが、私は、この問題---少なくとも、入浴剤を投入していた"白骨問題"の責任の所在は、半分くらいがお客の側にあると思っている。
このサイトをご覧の賢明な温泉ファンの皆さんならとうに承知のことであろうが、そもそも、温泉というのは、大自然の恵みであるから、その性状や湧出量が日によって変わることは当然である。自然は、決して人間にとって都合のいいことばかりではないのだ。
しかるに、はるばる東京からやってきたにもかかわらず、温泉水の色が期待していたものと違っていると、『これはどうしたことだっ!!』と文句を言う客が少なからずいたことは想像に難くない。
ならば、入浴剤を添加して期待に添えるようにしようと考えたのは、ある意味当然の発想ではないか。(温泉浴場に入浴剤を投入することを禁じる法律はないし、そのことを表示する義務もない。少なくとも、白骨温泉がやっていたことは、法律には抵触しない。)
要するに、自然に対する都会人の勝手な思い込みが、この問題の根底にあるというわけだ。もっとも、その思い込みが、産業としての温泉を支えているのも事実ではあるのだが。
白骨温泉泡の湯旅館は、集落から少し離れたところにある温泉旅館で、伝統的な木造3階建ての建物がいまも現役である。混浴の大露天風呂がウリだが、本館の外来入浴は13:30までとなっていたので、最近完成したらしい外湯に入ってみることにした。
脱衣場から浴室に入ると、無色透明の湯を満たした内湯があるが、これは温泉ではない。本命は、その奥にある露天風呂だ。
あまり広いものではないが、期待通り青白く濁った湯が満たされ、うっとりするような硫黄臭が漂っている。若干加熱しているそうだが、39℃前後と低めの湯温なので、大自然を眺めながら、ゆっくりと入浴できるのがよい。飲泉用のコップも備え付けられていた。
泡の湯旅館の源泉は、毎分1,600Lもの湧出量を誇る自噴泉(掘削)。これを一部加熱して浴用に供している。
お湯が白く見えるのは、湧出後、時間が経っているからで、空気に触れていない新鮮な源泉は無色透明、しかも、肌に泡付きが見られるのだそうだ。(屋号の由来)
同じ源泉であっても、湧出後の扱いによって、性状が大きく変わるところが面白い。本館には、『透明・泡付き』の浴槽もあるそうだから、今度は是非ともそちらに浸かってみたいと思う。
お気に入り指数:★★★★☆
