小処温泉


露天風呂


露天風呂からの眺望

 奈良県上北山村の公営日帰り入浴施設。

 村役場のがある河合から、狭隘な県道を約8Kmほど入った場所にある。路線バスの便はなく、アクセス手段という視点で捉えれば、近畿でも屈指の"秘湯"であろう。

 大台ケ原を目指す山男たちには古くから知られていたらしいが、本格的な温泉として開発されたのは30年ほど前。2001年に、松・杉・檜の巨木をふんだんに使った現在の建物に改築された。

 "渓谷の湯"と称する岩風呂、"大樹の湯"と名付けられた木風呂があり、それぞれ小さな露天風呂が付属している。私が訪問した日は、前者が男湯となっていた。

 浴槽は思いのほか広く、打たせ湯がある。サウナや泡風呂などはない。
 お湯は無色透明の硫黄泉。硫化水素臭はなく、残念ながら若干のカルキ臭を伴っている。泉温は25.6℃だから、浴用加熱、そして循環式だ。
 露天風呂は小規模なもので、屋根がついている。解放感はあまりないが、清冽な小橡川の眺めはなかなか良い。

 平日と言えども夏休み期間中であるから、それなりの人出を覚悟していた。けれども、現実には1時間弱のあいだ、"渓谷の湯"を私一人が独占することになった。
 この種の公営浴場は、老人福祉施設という側面があり、土地の爺ちゃん婆ちゃんが昼間からのんびり入浴していることが少なくない。しかし、小処温泉の周辺に民家は皆無。だから、老人サロン的な利用もないようだ。
 とにかく、山また山。それほどまでに辺境の地にある温泉である。
 人間の代わりに、と言っては何だが、温泉に向かう途中で野生のニホンザルの群れを見かけた。あるいはあのサルたち、こっそりと小処温泉の露天風呂を愉しんでいるのではあるまいか(!?)。

 風呂上がりは、セルフ式の食堂でかき氷を食べた。湧水を凍らせて作ったというフラッペは、絹のように繊細な舌触りで、なかなか美味であった。このほか、麺類をはじめとする軽食とアルコールを含む飲み物が準備されている。

 大阪では猛暑が続いているが、この日、小処温泉の気温は28℃。網戸を通して吹き込む風は爽やかで、建物に備えられた冷房装置は電源を切ったままであった。

 同じ村内にある薬師湯に較べて、お湯そのものは見劣りがすることは否めないけれども、圧倒的な緑に包まれた静かな環境は抜群で、森林浴と同時に愉しめば、日々のストレスはすうっと霧散するに違いないと思う。

お気に入り指数:★★★☆☆

施設DATA
温泉名 小処温泉
施設名 小処温泉
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 奈良県吉野郡上北山村小橡665-2(→地図)
電話番号 07468-3-0256
参考サイト 上北山村ホームページ
営業時間 11:00〜20:00(12月末頃から3月半ばまで冬季休業・要問い合わせ)
第2・4火曜日定休(祝日の場合は翌日)
料金 大人:500円、子供:250円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー
浴場施設 内湯、露天風呂
駐車 可能
入浴日 2004年7月29日
備考 <0058>


温泉DATA
源泉名 北山峡 小処温泉
泉質 硫黄泉
泉温 25.6℃(気温:8.0℃)
湧出量 ---
知覚的試験 ---
pH値 ---
ラドン ---×10-10キュリー
密度 ---
蒸発残留物 ---
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.177g/Kg
分析年月日 2001年3月22日
1Kg中の成分
     

    

陽イオン mg
ナトリウムイオン 43.2
カリウムイオン 1.0
マグネシウムイオン 0.1未満
カルシウムイオン 3.3
鉄イオン 0.1未満
マンガンイオン 0.1未満
リチウムイオン 0.1未満
ストロンチウムイオン 0.1未満
バリウムイオン 0.1未満
アンモニウムイオン 0.1未満
アルミニウムイオン 0.1未満
陽イオン合計 47.50
陰イオン mg
フッ素イオン 2.3
塩素イオン 14.3
臭素イオン 0.1未満
ヨウ素イオン 0.1未満
硫化水素イオン 5.9
硫酸イオン 6.8
炭酸水素イオン 46.5
炭酸イオン 17.4
チオ硫酸イオン 0.3
リン酸イオン 0.1未満
硝酸イオン 0.1未満
亜硝酸イオン 0.1未満
陰イオン合計 93.5

非解離成分 mg
メタケイ酸 34.9
メタホウ酸 0.8
非解離成分合計 35.7
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.1未満
遊離硫化水素 0.1未満
溶存ガス成分合計 ---

 


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制作:2004年7月29日 修正:2004年7月31日