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■津軽海峡線青森からは、快速列車で函館に向かう。 開通直後はブームに沸いた津軽海峡線であるが、その後、青函間の旅客数は減少の一途をたどり、最近は連絡船時代の最低旅客数をも下回る状態であるという。時刻表を見ても、快速海峡号は4〜6両編成となっている。けれども、この日の快速海峡3号は、50系5000番代12両編成という長大編成であった。 快速海峡3号は、定刻、青森を発車。 客車の車体や天井には、大きなどらえもんのステッカーが貼られている。人気キャラクターの力を借りてでも、乗客を増やそうという涙ぐましい努力である。キャンペーンは10月28日で終了したが、車両の飾り付けはそのままであった。 青森を出た列車は、陸奥湾に沿って進む。 津軽海峡線は、青森-函館間の路線につけられた愛称である。青函トンネルを含む中小国-木古内間は、まったくの新線だが、青森-中小国、木古内-函館間は、既存のローカル線を改良しただけなので、現在でも単線で、カーブも多い。 列車は、駅ごとに長いコンテナ貨物列車とすれちがう。 蟹田に停車し、乗務員が交代する。新しく乗り込んできたJR北海道の車掌が、さっそく青函トンネルについての解説放送を始める。 海面下240mの最深部を過ぎると、列車は北海道に向けて、勾配を上り始める。これまでは、先頭の機関車が客車の加速度を抑えるために踏ん張っていたのが、今度は機関車が客車を引っぱり上げる立場になる。心なしか、私の身体が背ずりに押し付けられたようにも思えた。 約40分の退屈極まりない時間に耐えると、車窓には北海道の風景がぱっと広がる。奇麗に枝打ちされた杉の人工林があったりして、道東の荒涼とした風景とはかなり趣が違うが、広い牧場にサイロが点在する風景は、やはり北海道のものだ。 高規格の線路は木古内で終わり、ここからは既存の江差線を改良した区間を行く。 江差線は、もともと、函館と日本海側の漁港である江差を結んでいたローカル線である。青函トンネルの開通でにわかに脚光を浴び、突然、北海道と本州を結ぶ最重要線に格上げされた訳だが、それが旧国鉄の財政が最悪であった時期と重なってしまったため、幹線化のための投資は最小限で済まされている。従って、列車は津軽海峡を望みながら、昔と同じく海岸線を忠実にトレースしていく。車輪は軋み、速度は上がらない。 けれども、鉄道旅行を愉しむものにとっては、新幹線のような味も素っ気もない路線より、こちらのほうがずうっと都合が良い。 新しい住宅が目に付くようになり、列車は五稜郭に到着。 13時49分、函館着。 函館駅は、2003年度の完成に向けて、改築工事が始まっている。 既に跨線橋は解体済みで、地上の仮設通路を通って出口に向かう。自動改札機が並んでいるのは時代の流れだが、駅舎とその内部の雰囲気は、まだ、昔のままであった。 連絡船の低い汽笛が聞こえるような気がした。 |
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2001年11月10日 制作
2001年11月21日 修正