私鉄特急乗り継いで...

立山黒部アルペンルート


室堂から望む立山


みくりが池


偶然見かけた雷鳥

室堂散歩

 室堂駅は、標高約2,400m、日本国内ではもっとも標高の高い場所にある"鉄道の駅"である。ホテルを兼ねた立派な駅舎があり、観光客でごった返している。

 私は電車とケーブルカー、路線バスを乗り継いだが、貸切バスならここまで直接乗り入れ可能である。立山駅は案外ひっそりしていたから、室堂にやってくる観光客の半分以上は団体ツアー客のようだ。

 腹がへってきたので、ここで昼食を摂ることにする。ラーメン定食を注文したが、出てきた料理はぬるくて高い。値段が高いのはやむをえないとして、この麺の茹で具合はいかがなものか----と思ったのだが、あとで調べてみると、ここ室堂では、水は約90℃で沸騰してしまうのだそうだ。ラーメンごときを作るのに圧力鍋を使う訳にもいかないであろうし、いろんな不自由があるのだと思う。

 食事後、室堂平を散策することにした。

 室堂平は、森林限界を超えた高所にある平坦地である。
 バスを降りたときにあたりを包んでいたガスがはれ、荒々しい立山連峰が目の前に見える。
 立山黒部アルペンルートの開業によって、登山者だけの世界であった北アルプスの懐に、サンダル履きで来られるようになった。まったくもって素晴らしいことだと思う。

 しかし、訪問者が増えると予想もしない不都合が起きる。たとえば、平地にしか成育しないはずの植物の種子が観光客の靴底にくっついて運び込まれ、かよわい高山植物の群生を圧倒してしまう例があるという。自然保護と観光開発の両立は、かくのごとく難しい。

 みくりが池のほとりでは、雷鳥を間近に見ることができた。もっと大きな鳥だと思っていたが、実物は鳩ほどの大きさである。いまは夏毛であるが、これが見事な保護色となっており、わずが数mほどの至近距離にもかかわらず、一瞥しただけではそこに鳥がいるようには見えない。
 全くの野生動物だが、彼女は観光客慣れしているようで、こちらをじいっと睨んだのち、ハイマツの向こうに悠然と歩いて消えた。

続く


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2001年10月2日 制作 
2001年10月3日 訂補