古い時刻表から

 引っ越しをすることになって部屋を整理していたら、古い時刻表が出てきた。
 コンパス全国時刻表1964年4月号(弘済出版社刊)、つまり東海道新幹線が開通する直前の時刻表である。この年を境に旧国鉄は赤字に転落することになるから、ある意味では国鉄が戦後の栄華の絶頂にあった頃のダイヤとも言える。
 当時の東海道線東京駅の発車時刻表を書き写してみた。
 朝7時から9時にかけて、明るいうちに大阪に着く特急列車群(車両はもちろん151系である)が発車したあと、今度は大阪行きの急行電車が続く。名古屋より近いところは準急という列車種別が幅をきかせている。準急という列車種別は私が物心ついた頃には存在しなかったが、巻末の料金表を見ると『準急料金』なるものが記されているから、現在の特別料金不要の快速列車とは違うようだ。
 伊豆方面への行楽列車が案外多い。日光始発の列車もある。現在、秋葉原−上野間は山手線の外側に電留線があるが、かつてはここが本線で東京駅まで複線・電化の『東北本線』が続いていた。これを経由して東海道線と東北・常磐線の直通列車も走っていたのである。
 圧巻は夜19時50分以降10分間隔で発車する夜行列車群である。
 前半は本州内各地行き、後半は大阪行きが中心だ。朝一番の特急に乗っても大阪着は13時30分だから、大阪出張のビジネスマンは夜行列車に乗るのが常識だったのだろう。
 夜行急行のしんがりは急行『大和』。名古屋から関西線を経由して湊町(現在のJR難波)に着くが、直前を走る電車急行より所要時間が短い。非電化単線、加太越えをして王寺で和歌山行きを切り離すという手間のかかることをやっているのに早く着くのは、東海道線の夜行急行が鈍足だからである。
 恐らく深夜の東海道線は、夜行急行と貨物列車が容量いっぱいの平行ダイヤを組んでおり、俊足の153系と言えどもその性能を発揮できなかったのだろう。

 私が鉄道旅行を始めたのは概ね1980年以降であるが、できれば一度この時刻表の頃にタイムスリップしてみたいと思う。

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1998.4.5