■冬の的矢湾
 思いのほか細い道路を10分くらい走ると、突然眼下にリアス式の海岸が見えてくる。やわらかい陽射しを浴びて、牡蛎養殖のいかだが浮く海面がキラキラ輝いている。

渡鹿野島への渡船から見た冬の的矢湾

 小さな船着き場から2隻の船に分乗し、15分くらいで渡鹿野島に着く。船着き場のすぐ前が目的地のホテルである。  ただちに大宴会場に案内される。すでに料理が並んだ膳が準備されていて、添乗員やホテル側の挨拶もないままに、各自食べ始めることになる。

牡蛎料理。これ以外に、あとからフライ、雑炊などの熱い料理が出た。 食事の様子。格安の値段だから文句は言えないけれど、ちょっとボロかった。

 冷えきった牡蛎グラタンや焼き牡蛎には閉口したが、新鮮なセル牡蛎や酢牡蛎、それにあとから温かい状態で供された牡蛎めし、牡蛎雑炊、牡蛎入り茶わん蒸しは驚くほど旨かった。ビールも呑んだのでお腹はパンパン。牡蛎フライの一部は残してしまう羽目になった。

■渡鹿野島と的矢湾めぐり
 的矢湾めぐりの出発時間までしばらく間があるので、まずはホテル内を探検。この手の宿泊施設によくある建て増しに次ぐ建て増しを重ねた構造で、廊下は迷路のようでもある。フロントにはアクリルケースに入った10100系ビスタカーのHO模型が飾られている。上手ではないけど丁寧に作られた自作品で、社長あたりがこの手の趣味を持っているのかも知れない。

フロントに置かれた10100系ビスタカーの模型。
パンタのある大阪寄りが流線型のA編成である。


 ロビーでは殻つきの牡蛎が1コ150円で売られている。いつもであれば何個買うべきか思案のしどころであるが、今日は死ぬほど牡蛎を喰ったばかりなので、もはや興味はなく、横目で見るだけである。
 玄関出てホテルの周囲を散策。短距離ながらも船を使わないと渡れない島だから、車は走っていない。ナンバーのない軽トラックが何台かあるだけである。道は狭いが通る車がないから、子供達が悠々とキャッチボールをしている。
 島内にはいくつかの旅館やホテルがあるが、日曜の昼下がりであるからひっそりしている。どの旅館も、玄関先の海岸に小さな浮き桟橋を持っていて、渡船が直接接岸できるようになっていた。

 14時15分、予定より早く的矢湾めぐりに出発。観光案内のテープが流されるが音量が小さく、うまく聞き取れない。ビールの酔いも手伝って、半ば昏睡状態のまま遊覧は終了、磯部の船着き場に到着。

続く