■志摩磯部と伊勢志摩ライナー
貸切バスで朝来た道を戻って、15時半すぎ志摩磯部着。
一部の特急しか停車しなかったこの駅が、近鉄の子会社が経営するテーマパーク・志摩スペイン村の玄関として整備されたのが94年。さすがに同じ資本だけあって、駅舎自体、パーク内の建物として考えてもまったく違和感のない凝った造りである。首都圏の某テーマパークの最寄り駅が『舞浜』なぞという味も素っ気もない名前であるのとは大違いだ。
志摩磯部の引き上げ線で待機中の23000系伊勢志摩ライナー |
構内の留置線には23000系伊勢志摩ライナー(ISL)が停車中である。1時間ヘッドで運転する他の特急列車はわずかな停車時間で賢島から折り返すが、目玉商品であるISLは昼間は伊勢で遊んでいる運用となっている。志摩線内には留置線が少なく、一部は明星まで戻って昼寝をしているようで、運用効率はすこぶる悪い。
■『楽』のかぶりつき
16時すぎ、賢島方から『楽』が入線、すぐに発車する。
さっそく先頭の1号車に行ったところ、かぶりつきの展望席には誰もおらず、しばらくここで景色を愉しもうと思う。冬の夕暮れは早いから、残された時間は多くない。
運転士の持つ運転時刻表によれば、帰りの列車番号は8504列車。こちらは完全な臨時のダイヤなのであろうか? 嫌な予想が的中し、志摩磯部を出てすぐの白木で15分あまりの運転停車。運転士はホームに降りて煙草を吸ってるけれど、こちらは車内で待つしかない。ドアが開けば『楽』の外観をたっぷり撮影できるところなのだが...。特急2本にまとめて抜かれ、ようやく発車。
T-Barと称する補助椅子。収納された状態。 |
一見不安定な感じだが、座り心地は結構いい。 |
鳥羽で別の団体を乗せたあと、宇治山田で運転停車。この停車は乗務員交代のみで、すぐに発車した。伊勢運輸区を左手に見たあと、伊勢市駅を通過。58系3両の参宮線普通列車を軽々と追い越し、快適な走りっぷりになったと思ったら、松阪手前の櫛田でまたもや運転停車。今度は4本もの列車に抜かれるらしい。伊勢志摩ライナー、ビスタカー、果ては5200系の急行列車にも追い抜かれて、すっかり暗くなった伊勢路を大阪へと向かう。
中川を過ぎると、前方展望はただの闇となる。進行現示の閉塞信号機が規則正しく現れ、時折、対向列車のヘッドライトが飛ぶように近づいてくるだけである。乗客の大半は居眠りをしていて、車内は驚くほど静かであった。
名張、榛原と特急退避を繰り返し、18時50分頃、八木4番線着。ここでも特急退避をするが、これはもちろん都合がいい。ストロボを焚いて外観を撮影。
八木駅に帰ってきた20000系 |
出発信号が進行現示になって、『楽』が出発。突然のことでカメラに収めることはできなかったけれど、スカートに内蔵されたリトラクタブルヘッドライトが開く様子を見ることができた。
橿原線の普通列車で、20時まえ、西ノ京着。