■ハイデッカー
 このへんで車内探検に出かけることにする。他の車両と違って、カネさえ払えばいつでも乗れる車両ではないから、この際じっくり観察したい。
 まずはシート。
 座席そのものは何の変哲もない転換クロスシートだが、中間車はグリーン系のモケットに黄色の枕カバー、先頭車は暖色系のモケットに赤いカバーがついて、ちょっと豪華な感じ。
 床は出入口部分を除いて全面絨毯敷き。そのせいか、静粛性は抜群である。ハイデッカーである2号車・3号車間の貫通路は高い位置にあり、30000系に似たガラスの引き戸が入っていた。トイレは和式と洋式があるが、独立した洗面台はない。
 3号車から先頭の4号車に入ると、ソファとテーブルが並んだラウンジ風のスペースがある。幹事用の席らしいが、今日は車内販売基地となっている。
 その先には、ダブルデッカーの証とも言える階上席・階下席への階段が並列に並んでいるのが見える。

先頭車の展望席

階下席

先頭車にあるサロン

中間ハイデッカー車内

天井部分もガラス張り

20000系の運転台
同時期に製造された21000系とほぼ同じ設計

■ダブルデッカー
 階下席は4ボックス分ほどの空間で、ビデオモニタに前方展望画像が写っている。カラオケ装置もあるようで、列車によっては即席のカラオケルームにもなるようだ。解放感もなかなかで、狭苦しい印象はない。
 階下席は行き止まりではなく、車体中央部付近にあるら旋階段で階上席に出られるようになっている。
 この階段を上ると、前方に素晴らしい展望が広がる。
 客室と乗務員室はガラスで仕切られているものの、フレームレスであるからないも同然。最前部の4列・16人分は、階段教室のような造りで、カブリツキの展望を愉しめるようになっている。驚くべきことに、乗務員室の天井の一部はガラス張りで、すぐ上に架線が見えた。

先頭車の階段部分

ロゴ入りの専用枕カバー

 この、鉄ちゃん憧れの席はもちろん先客がいた。なぜかいずれも初老の夫婦で、白髪混じりの亭主は皆夢中で前方を見つめている。時折、隣席の妻に信号機や対向する電車の『解説』をするのだが、奥様方のほうは、『そんなんどーでもよろし』という感じで、適当に相づちを打ってみかんを食べたりしている。30年後の自分の姿のような感じがしないでもない。

続く