■『楽』に乗る(1)
 7時まえに起床。この冬一番の冷え込みの中、西ノ京駅まで歩いて7時30分まえの普通電車で八木へ。途中下車して、駅前のハンバーガーショップでテイクアウトのコーヒーを買う。
 八木駅の大阪線ホームに上がると、近鉄ののぼりを持ったおじさんが立っている。今日の添乗員さんらしい。『2番線に団体貸切列車が参ります!』のアナウンスとともに、お目当ての20000系が入線。
 20000系『楽』は90年に新造された貸切専用電車である。4両固定編成で、先頭がダブルデッカー、中間車がハイデッカー構造となっている。大柄なボディにオレンジ、黄、グレー、白の派手な塗り分けで圧倒的な存在感があるが、それでいて奇異な感じがしないのは、そのデザインの優秀さによるものであろう。

八木駅に入線する20000系『楽』

■『楽』に乗る(2)
 両開きのドアが開いて、車内に入る。
 我々に指定されたのは2号車49番・50番。残念ながら中間のハイデッカー車である。2号車の『入り』はざっと見て5割強程度であろうか?
 温かいコーヒーを口にした頃には、列車は朝倉を過ぎて33.3パーミルの急勾配に挑んでいる。『楽』の足回りは特急車と同じであるから、100Kmを超える速度でぐんぐん登る。線路際には、一昨日降った雪がまだたっぷり残っていた。
 榛原、名張、伊賀神戸で客を拾うと車内はほぼ満席になり、添乗員による検札が始まった。ツアーの性格上、中年のおばさんグループ、初老の夫婦などが主体の団体であろうと予想してたのだが、若い女性のグループや家族連れなども案外いた。皆静かに車窓の景色などを見ており、身の毛もよだつようなオバサングループの嬌声(!)が聞こえないのは何よりであった。

続く