能登の鉄道・駆け足試乗記


304D 急行能登路4号(輪島駅)


のと鉄道輪島駅


輪島駅の駅名標
ちょっとセンスのない落書きが....


穴水-輪島間のスタフ


穴水駅にて

■急行能登路4号 金沢行き

 輪島駅本屋は、鉄筋造りの小奇麗な建物であった。
 輪島は朝市と漆器で知られた漁港で、多くの旅行者を集めている。けれども、観光客の入れ込みはとうの昔にマイカーと観光バスに移ってしまい、のと鉄道輪島駅には観光地らしい華やかな雰囲気は感じられない。構内売店には、4月1日をもって閉店した旨の張り紙が風に揺れ、駅前の土産物店にも観光客らしい姿はなかった。

 輪島駅には、JR時代のままの『みどりの窓口』があるが、改札業務は行わない。ホームは1面1線。スタフ閉塞であるから、転てつ機もなければ信号機もない。運転形態としては、これ以上簡素化の方法がない究極の盲腸線状態となっている。使われなくなった向かいのホームに、旧国鉄様式の駅名標がポツンと建っていた。

 写真を撮ったり、入場券を買ったりしてるうちに、折り返し時間の30分はあっという間に過ぎる。

 急行能登路4号は、予想以上の混みようであった。輪島に1泊旅行に来たのであろうか、土産物の袋を持った観光客らしい姿も見える。窓際のテーブルに菓子やジュースが並んで、話が弾む。昔なつかしい列車の旅の姿を垣間見るような気がする。
 もっとも、『混んでいる』と言っても、ボックスの8割がに乗客がいるという程度だから、乗車率は30%もないであろう。

 11時03分、輪島発。いま来た線路を引き返す。
 往路の下りは復路の上り。さっき、軽快に駆け下った線路をあえぎながらよじ登り、歩くような速度で進んだ線路をすいすいと走る。
 沿線の何か所かで、カメラを構えるファンの姿があった。私が好んで乗る列車は、なぜかカメラの被写体となることが多い。この区間は、来春の廃止がほぼ決定したようだから、深い緑のなかを行く気動車急行の撮影は、今夏が最後となるはずである。

 穴水到着前、ホームで駅弁の販売がある旨の車内放送が流れる。立ち売りがいるのかと思ったら、上りホームの一角に売店があって、わずかな弁当が置かれていた。

 12時10分、和倉温泉着。
 能登路4号は上り列車であるが、本来は下り線である2番乗り場に到着する。跨線橋の上から七尾方を見てたら、ほどなく、大阪からの特急サンダーバード7号が改札口に面した1番ホームに到着すした。地元客より、都会からのお客さまを優先するということなのだろう。今日は日曜日であるが、それでも数十人以上が改札を通り、駅前で待機する旅館のマイクロバスの中へと消えた。

 駅売店で『ちらし寿司』(600円)を買い、再び跨線橋を渡って2番ホームに行く。

 

続く


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