■自宅〜関空〜千歳空港
自宅を6時半頃出て、雨の中を歩いて尼ケ辻駅へ。
近鉄難波から南海難波の乗り継ぎは、雨にこそ濡れないものの結構距離がある。大きなリュックサックを背負っているのでラピート試乗は次回とし、鶴橋から環状線で天王寺、ここから関空快速に乗って8時半頃関空着。
関空快速(223系)・関西空港駅にて |
全日空131便はB747SR。拍子抜けする程空いていて、希望した2階席の乗客は私を含めてたったの5人。途中はずっと雲の上だったけど、津軽海峡あたりで視界が開ける。函館山や駒ヶ岳を左手に見るあたりで着陸態勢に入り、眼下に苫小牧の工業地帯と日高本線の細い線路が見えた頃、機内のテレビに前方展望画像が写しだされた。滑走路がみるみるうちに迫って千歳空港着。
大阪からたったの2時間で北海道に着くとは、飛行機はまるで魔法の杖だと思う。もっとも、青森→函館→駒ヶ岳→噴火湾という伝統的北海道旅行の序章がすべて省略されてしまったから、北海道にきたという実感がいまひとつであったのも事実であるが。
■千歳空港〜札幌〜釧路
まずは売店で北海道版の時刻表を購入。実は、大阪で予約してきたのは宿3泊と往復の航空券のみで、『スーパーおおぞら5号』の指定席は確保できなかった。時間があるので、一旦札幌に向かい、自由席の確保を目指すことにする。みどりの窓口で快速エアポートの指定券を発券してもらい、地下2階のプラットホームへ。
1面2線の島式ホームは思ってたより狭く、妙に煤けた感じ。臨時のディーゼル特急が出たあとなどはさぞけむたいことだろう。
指定席がほぼ満席の状態で新千歳空港発。狭い単線トンネルを抜けると程なく南千歳。かつての空港ターミナルビルは派手な色彩の商業ビルになっていた。
高架の千歳空港を過ぎても、線路の両側には真新しい住宅街が続く。丘陵を切り開いて造る内地のそれとは違って、平らな原野を造成したものだから、敷地は広々としている。定刻、札幌着。
ここで約1時間の待ち合わせであるが、カラフルな電車・気動車が次々に入線するので退屈しない。大半の列車が5分以上停車するダイヤだから、ゆっくり眺めることができる。
ざっと見たところ、普通電車は721系が2/3、あとは711系のようだ。北海道の電車は鋳鉄製のブレーキシューを使っているので、ボディが茶色くなっているものが多い。ステンレスの721系のほうがより汚れが目立つ。
711系交流電車・札幌駅にて |
スーパーおおぞら5号(キハ283-901) |
隣のホームに入線してきた711系電車を見たら、窓が2段式の試作編成であった。もう30年近くも北の大地を走り続けているJR北海道の最古参とも言える車両である。
13時25分頃、函館方から283系9連の『スーパーおおぞら5号』が入線。6両の基本編成の後ろに3両増結している。私の乗った最後尾の9号車はキハ283−901。今日はよくよく900番台に縁があると思う。首尾よく進行右側の席を確保する。
定刻、札幌発。いま来た線路を引き返す。自由席の乗車率は7割くらい。721系と違ってカーブで振り子が効いているのがよく分かる。南千歳から架線がなくなり、追分で室蘭本線をオーバークロスして石勝線に入る。新狩勝トンネルでは根室本線合流部分に注意してたのだが、はっきりしないまま十勝側に出てしまった。何度か大きくカーブして新得に下っていくが、一か所だけ大きな金属製の防風板が車窓を遮っている場所がある。たぶん、数年前に突風にあおられた『おおぞら』が転覆した場所なのだろう。
新得では、DF200の牽く貨物列車と交換。長く連なったコキにはコンテナが満載されていて、空きスペースはひとつもない。コンテナの荷札を見ると、積み荷は馬鈴薯、タマネギ、小豆などで行き先は首都圏や関西が多かった。
新得からは先頭の貫通路に立って前方展望を愉しむことにする。最後尾の9号車から先頭車まで、車内探検。指定席車は自由席以上の混雑でほぼ満員。3列シートのG車はきらびやかで豪華な作りであるが、ちょっと悪趣味な印象が拭えない。
定員1名の『展望席』に先客はなく、じっくり景色を見ることができた。
線路は木製枕木のままだが、曲線部分に限ってはPCマクラギとなっていて、道床のバラストも真新しい。線路際では、他の線区ではあまり見かけないプラスチック製の機器箱が目につく。どうやら踏切制御用のスイッチのようで、列車の速度向上に対応し、踏切からより離れた位置に移設したらしい。多くの駅では、場内信号機が2つになっている。一線スルー化に伴い、同じ下り列車でも停車列車と通過列車では進入すべき線路が違うためである。車両自体もさることながら、地上設備の改良にも結構カネがかかっているようである。
高架になった帯広駅で乗客の半分が下車し、次の停車駅は池田である。ふるさと銀河線の線路では、CTC化のための信号ケーブルの埋設工事中で、北海道からタブレットが全廃される日も近い。
厚内をすぎると、太平洋が見えてくる。ジャガイモ畑は消え、線路の両側は荒涼とした原野が広がるだけになる。17時05分、白糠発。あたりはすでに薄暮で、列車は終着駅に向って時速130Kmでのラストスパートを開始、国道38号線を走るクルマのヘッドライトを次々に追い抜く。
録音テープの放送が流れ、定刻、釧路着。デッキのLED表示は、瞬時に『スーパーおおぞら札幌行き』になり、車内清掃が始まる。350Kmを走り抜いた編成は、1時間の休息ののち、スーパーおおぞら12号として再び札幌に戻る車両運用となっている。
厚岸産の牡蛎 |
フィッシャーマンズワーフ・MOO |
駅近くのビジネスホテルにチェックインし、さっそく夜の街の探検に出かける。駅から幣舞橋までの目抜き通りは、人通りが少なくひっそりしている。フィッシャーマンズワーフをひやかしてから、その名も『炉ばた』という炉ばた焼き屋で呑んだ。それ程安くはなかったけれど、ホッケやツブ、ウニ、ホタテなどの北の海の幸が旨かった。