去る10月8日(2007年)、恒例の『きんてつ鉄道まつり2007』が開催され、五位堂検修車庫が一般に公開されました。
 この日は朝から雨が降るあいにくの天気でしたが、私の予想を遥かに超える盛況ぶりで、ふだんは寡黙な技術屋さんが往来する車庫内に子供たちの歓声が響いてました。
 イベントの様子を簡単にレポートします。

近鉄五位堂検修車庫について



 近鉄五位堂検修車庫は、1982年に開設された比較的新しい車両検修工場だ。近鉄線を走るすべての鉄道車両(名古屋線等の一部車両を除く)がここで整備される。敷地面積は約7万m2あり、450人ほどの職員が働いている。

 平素はもちろん許可なく立ち入ることはできないが、年に1度の公開日には、誰でも自由に見学できる。例年、約1万人が来場するのだそうな。

 JRの吹田工場や鷹取工場を見学したことがあるが、戦前からの伝統をもつこれらの工場に較べて、構内が広くて機能的なことに感心した。

 昨今の現業部門分社化の流れに沿って、実際の作業は近鉄本体ではなく、子会社である近畿車両エンジニアリング(株)が担当している。

車両展示撮影会

 鉄道工場公開のいちばんの華は、何と言っても車両展示であろう。看板列車や、あまり目にする機会がない事業用車両が一堂に集まる。

 この日は、"アーバンライナーnext"、"ビスタカーEX"、団体専用車両"楽"、通勤電車"シリーズ21"、電気検測車"はかるくん"が並んだ。

 今日10月8日は近鉄名阪特急の60回目の誕生日。

 記念ロゴマークが描かれた"アーバンライナーnext"は、この朝、特別列車として名古屋から上本町まで運転。そのあと、昼すぎにきんてつ鉄道まつりに駆けつけた。

 関西のおっさん鉄道ファンにとっては、近鉄特急イコール二階建て電車である。

 疾走する"VISTA CAR"に目を輝かせ、臨海学校で"あおぞら号"に乗ったときは、天にも昇るような思いであった人も少なくないのではないか。

 かつての憧れの列車は追憶の彼方に走り去ったが、目の前にあるその後継車の勇姿は、いまなおまぶしい。

 近鉄版ドクターイエローとも言える電気検測車"はかるくん"。"楽"を思わせるカラフルな外観で、来場者の視線を浴びていた。

 営業列車と同じ速度で走行しながら、架線や保安装置の状態を検査できるのだという。

主検修棟

 主検修棟内最大の見せ場は、40トンクレーンによる車体の吊り上げ実演。全長20mの車体が、台車を残して空中高くに舞い上がる。圧巻である。

 クレーンの操作室。車体に取り付いた作業員と合図をとりあって、車体をそろりそろりと、持ち上げる。

 "大阪方"・"山田方"は、近鉄社内での列車(車両)の方向を示す表現。

 改造中の通勤電車。内装がほとんど剥がされ、複雑な配線がむき出しになっている。また、スカートの一部も切り取られている。

 見る人が見ればお分かりだと思う。2009年春の阪神なんば線開業に向け、準備作業が急ピッチで進んでいる印象である。

 

 近鉄(近畿車輛)独自のシュリーレン式横剛性空気バネ台車。
 現在のボルスタレス台車に変わるまで、約20年の長きにわたって、標準台車として製造され続けた。

 在線状態ではほとんど眺められない足回りが間近に観察できる。台車整備ラインがすべて標準軌/狭軌両用の3線式になっているのが近鉄らしい。

 電車の象徴とも言うべきパンタグラフ。

 目の前で見ると、思いのほか大きく、かつ、丈夫そうな造りである。時速120Kmで架線をこするわけだから、そう簡単に壊れては困るが。


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制作:2007年10月9日 修正:2007年10月16日