岩山を通過する搬器

 奈良ドリームランドの最後の目玉は、園内を走るロープウェイ---スカイウェイである。

 ロープウェイは、支柱を建てるだけで、どんなに急な傾斜地や深い谷であっても一気に通過できる特徴がある。もちろん、空中を行くその眺望は抜群で、それゆえ、山岳地域にある観光地で多用されるわけだが、奈良ドリームランドの地形は完全に平坦であり、ロープウェイを設置する必然性はまったくない。

 にもかかわらず、その眺望だけのために法律に基づくロープウェイ---正式には索道と言う---を作ってしまったところに、ドリームランドのスゴさがある。

 

 かつての"幻想の国"にあるスカイウェイ乗り場。

 木造の駅本屋は、築後40年以上を経て相当な風格が醸し出されている。

 おじさんに促されて、搬器に乗り込む。

 園内の大半のアトラクションは、従業員1名で運転されているのだが、スカイウェイに限れば両端の駅にそれぞれ2〜3人の係員がいた。

 やっぱり、タダの遊園地の乗り物ではないということか。

 岩山を貫くスカイウェイ。下にはスペースライナーの軌道が見える。また、この岩山自体に、ボブスレーというジェットコースターが組み込まれている。

 このハリボテの岩山、盛夏にも決して消えない万年雪をまとっていて、奈良市内のかなり広い範囲から望むことができる。若草山と並ぶ奈良市の名峰である(嘘)。

 岩山を貫くロープウエイとジェットコースター、モノレールetc。実はこれ、1955年に開業した米国ディズニーランドのデッドコピーである。
 今なら知的財産権の侵害だとして間違いなく訴訟になるであろうが、当時は、極東の敗戦国がやることなぞ、Walt Disneyはまったく意に介していなかったのかも知れない。

 搬器は定員4名。
 古い写真で見るものとはかたちが違うので、更新されたものらしい。

 太い支索に滑車でぶらさがった搬器が、2本の曳索を掴んで進んでいく。三線循環式と呼ばれる比較的古いタイプのロープウェイである。

 スカイウェイからの眺め。
 白く輝くお城と紅葉の対比が美しい。遥か遠方に若草山の一部が見えている。

 来年、奈良ドリームランドは、無事に45回目の秋を迎えることができるのであろうか...。

 関西発の木造ジェットコースター"ASKA"。1998年に完成した、恐らくは園内でもっとも新しいアトラクションである。

 2本のレールに導かれ、地球の重力に身を任せて疾走するジェットコースターは、ある種の鉄道と解釈できると思う。(全然乗りたいとは思わないが)

 かつての"未来の国"にあるもうひとつの駅に到着。

 鋼材を組み上げた駅舎は、かなり古風な印象を受ける。今から四十数年前の開園当時は、これが"未来"の象徴だったのかも知れないけれど。

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制作:2004年12月12日 修正:2004年12月14日