VX-7R


VX-7R

 バーテックススタンダードの前身である八重洲無線では、型番の"R"サフィックスは本来レピータ対応を意味するもので、早くからレピータが稼働していた外国向けに輸出されていた。1980年代に入り、我が国でもレピータ認可の機運が高まると、国内向けの"R"バージョン無線機が発表された。しかし、それ以降は、レピータ対応機であっても"R"のつかない型番が付与されるようになり、現在は事実上V/UHF機の輸出バージョンを意味するサフィックスとなっている。
 今回、たまたまVX-7Rに触り、Operating Manualを読む機会があったので、簡単にレポートする。

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VX-7 vs VX-7R

外観

 外観上の差異は、ディスプレイ上部のロゴと[3]キー脇のシルク印刷が異なる程度である。

 写真でもわかるとおり、国内向けV/UHF機からは消滅した"YAESU"ブランドがついている。やはり、海外市場ではHF機で築いたブランドイメージがモノを言うのであろうか。従免取得後、初めて使った無線機(ただし、学校の社団局)がYAESUのFT/FL-10ラインであった私としては、誠に嬉しい限りである。

 

キーボード

 [F] + [3]が"WEATHER BROADCAST RECEPTION"となっているので、VX-7の"TV"に代わり"WX"と印刷されている。

 

リヤパネル

 国内仕様でないから、JARDの認証番号などは書かれていない。FCC IDも記載されていないから、USバージョンでもないようである。

 "改造ポイント"のハンダジャンパがどのようになっているのか、非常に興味があったけれど、借り物なので、シールは剥がせない...。

 

ディスプレイ

 ご覧のとおり、私が見せてもらったVX-7Rは、日本語表示も可能であった。

定格

 VX-7ではアマチュアバンドに限られるSUB受信部の"公式規格"だが、VX-7RのOperating Manualでは、Specifictionの項に、"SUB RX:50〜54/137〜174/420〜470MHz"と堂々とアマチュアバンド外が受信できることが書かれている。どのみちワイドバンドレシーバ機能が搭載されている訳だし、国内でも最初から"受信改造"を施した状態で売ればいいと思うのだが。

 送信部は、2mバンドが"144〜146 or 144〜148"、70cmバンドが"430〜440 or 430〜450"となっていて、VX-7Rにも複数のバージョンが存在することがわかる。そのほか、米国には222〜225MHzにもアマチュアバンドが存在するので、USA versionはその送信も可能だ。(ただし、最大出力は0.3W)
 FM送信部のDeviationは±5KHzとなっていて、VX-7と同じである。ただし、受信部のSelectivityは、12KHz/25KHz(-6dB/-60dB:N-FM, AM)となっており、通過帯域幅・選択度:15KHz以上/-6dB 35KHz以下/-60dB(NFM,AM)としているVX-7より若干シャープなフィルタを使っている可能性がある。

 その他のSpecはVX-7と概ね同じであった。

機能

 国内版では"TVチャンネルメモリー"となっている[F] + [3]が、VX-7Rでは"WEATHER BROADCAST RECEPTION"となっている。"WEATHER BROADCAST"というのは、160MHz付近で行われている一種の放送のようなものらしく、VX-7Rに限らず、米国仕様の無線機ではたびたび記述がある。VX-7Rには、代表的な10チャネルの周波数が予め書き込まれているという。
 VX-7では、"特殊メモリー5"は、主要な短波放送局と日本国内主要都市のAM/FM/TV放送の周波数が書き込まれているが、VX-7Rでは主要な短波放送のみが記憶されている。更にVX-7では、JRの列車無線周波数が記憶されている"特殊メモリー6"には、船舶無線(国際VHF)の周波数が書き込まれているようである。

 ARS(Automatic Repeater Sift)も輸出先の規格に合わせて変更されている。鉄道無線の空線信号キャンセラも装備されておらず、代わりに"WEATHER BROADCAST"の警報音である1,050KHzをカットする機能がついている。(回路的にはほとんど同じものと言えるが...)

 日本語入力については一切記載がないが、SET MODE Misc Setup #17は、EnglishとJapaneseの切り替えであることが書かれていた。

 以上がOperating Manual記載の内容だが、私が手にしたVX-7Rは、驚くべきことに国内仕様のVX-7とまったく同じ動作をした。

 すなわち、キーボードの表示が写真のごとく"WX"となっているにもかかわらず、実際には(日本バンドプランに合わせた)TV放送の周波数が呼び出されたし、"特殊メモリー5"では、国内のAM/FM/TV放送周波数を呼び出せた。更に、"特殊メモリー6"にはVX-7と同じJRの列車無線周波数が記憶されていた。無論、先に掲載した写真のごとく、日本語入力・表示もできる。鉄道無線空線信号キャンセラも正常に機能した。

 もしかしたら、中身はVX-7そのもので、外観だけがVX-7Rである"特別仕様"の無線機であるかも知れない-----と思って尋ねてみたら、アマチュアバンドの外でも送信ができるという。ダミーロードがないので実験はできなかったけれど、要するにこのVX-7R、実質的には"JマークのないVX-7"と思って差し支えないようである。(それにしても.....まったくキツネにつままれたような、不思議な無線機であった!)

And more...

 VX-7Rについて知りたい方は、下記のリンク先が参考になるであろう。

 

注意

 ここに記載された情報は、私が独自に収集したものです。内容の正確性については保証しません。あなたの自己責任でご利用ください。
 VX-7Rには、輸出先市場に合わせた複数のバージョンがあるので、すべてのVX-7Rがここに記したとおりの動作をするとは限りません。

警告

 VX-7Rをアマチュア無線機として使用する場合、総務大臣の免許が必要です。VX-7と異なり、VX-7Rは技適認証を受けていないので、送信機系統図を添付の上、TSSの保証認定を受ける必要があります。
 また、VX-7Rは、日本のアマチュアバンドに隣接する業務用の周波数でも電波を発射することができます。不用意に操作すると、業務局に妨害を与え、電波法に基づいて処罰されます。

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2002年8月19日 制作 2002年10月12日 修正