VX-7は、4種類のスキャンが可能だ。このうち、使用する機会が多いと思われる3種類のスキャン方法について、要点を解説する。
指定した帯域内を一定の周波数間隔で受信する方法である。帯域指定のために、U1・L1〜U20・L20の20組のメモリが用意されており、Unに上限・Lnに下限周波数をせっとする。スキャンは、次の方法で行う。
1) あらかじめセットモードで、スキャンする周波数間隔(3 チャンネルステップ)・電波形式(4 RXモード)を設定する。特定のトーンまたはDCS信号を伴う電波のみを受信したい場合は、トーンスケルチもしくはDCSの設定も行っておく。スキャン停止の条件は、スケルチが開くか否かであるので、スケルチレベルの設定も行っておく。
2) スキャン下限となる周波数を下限メモリーLn(n=1〜20)にメモリする。
3) スキャン上限となる周波数を上限メモリーUnにメモリする。
4) メモリーモードにし、下限メモリーもしくは上限メモリーを呼び出す。
5) [F] + [1]
6) スキャンを一時的に停止したい場合は、[PTT]を押す。
7) [V/M]を押すと、スキャンを停止する。
1) メモリーモードにする。
2) [F] + [1]
スキャンの対象となるのは、メモリーチャンネル1〜450の最大450chである。
スキャン停止中に[F] + [V/M]を押すと、一時的にそのチャンネルをスキップするようになる。内部妨害などの対策に有効である。
1) メモリーモードにする。
2) [F] + [9]
3)DIALつまみを回して、"2 メモリーグループ"を選択する。
4) [F] + [9]
5) DIALつまみを回して、希望するメモリーグループ(MG1〜MG9)を選択する。
6) [V/M]
7) [F] + [1]
特定のメモリーグループに属する周波数のみをスキャンする。
未知の周波数を検索する場合、やみくもにスキャンしても、受信できる確率は低い。我が国では、総務省が一定の原則に基づいて、用途ごとに無線局の周波数を指定しているから、あらかじめメボシをつけて受信するのがコツである。(なお、ここに掲げたものは、あくまでも原則であって、例外的な割り当てもある。)
プログラマブルメモリスキャンを用いるのが効率的である。
防災行政無線(市町村同報用) | 68.205〜68.895MHz及び69.105〜69.765MHz(15KHz) | |
150MHz帯簡易無線 | 154.45〜154.61MHz(20KHz) | |
警察無線基幹系(ダウンリンク) | 154.650〜155.975MHz(25KHz) | ディジタル方式のため、VX-7では復調不可。(*3) 移動局(アップリンク)は+4.6MHz。 |
国際VHF | 156.025〜157.425MHz(25KHz) | 船舶局の周波数。一部のチャネルは複信式で、海岸局は+4.6MHz。 |
警察無線基幹系(アップリンク) | 159.250〜160.575MHz(25KHz) | ディジタル方式のため、VX-7では復調不可。(*3) 中継局(ダウンリンク)は-4.6MHz。 |
特定小電力アナログコードレスホン(子機) | 253.8625〜254.9625MHz(12.5KHz) | 親機は+126.35MHz。 |
特定小電力ラジオマイク(I) | 322.025〜322.400MHz(25KHz) | 322.175〜322.225MHzは他用途に使用。 |
JR Bタイプ列車無線(移動局) | 336.0375〜336.1250MHz(12.5KHz) | 基地局は、+16.5MHz。 |
海上自衛隊専用船舶電話(船舶局) | 339.0250〜339.0750MHz(12.5KHz) | 海岸局は、+16.5MHz。 |
海上保安庁専用船舶電話(船舶局) | 339.1000〜339.2000MHz(12.5KHz) | 海岸局は、+16.5MHz。 |
本州四国連絡橋公団MCA無線(移動局) | 340.8500〜340.8750MHz(12.5KHz) | 基地局は、+16.5MHz。 |
マリンホーン(船舶局) | 342.0250〜342.4750MHz(12.5KHz) | 海岸局は、+16.5MHz。 |
警察無線署活系(I) | 347.7125〜348.2125MHz(12.5KHz) | ディジタル方式のため、VX-7では復調不可。(*3) |
小エリア簡易無線 | 348.5625〜348.8000MHz(12.5KHz) | |
JR Bタイプ列車無線(基地局) | 352.5375〜352.6250MHz(12.5KHz) | 移動局は、-16.5MHz。 |
海上自衛隊専用船舶電話(海岸局) | 355.5250〜355.5750MHz(12.5KHz) | 船舶局は、-16.5MHz。 |
海上保安庁専用船舶電話(海岸局) | 355.6000〜355.7000MHz(12.5KHz) | 船舶局は、-16.5MHz。 |
本州四国連絡橋公団MCA無線(基地局) | 357.3500〜357.3750MHz(12.5KHz) | 移動局は、-16.5MHz。 |
マリンホーン(海岸局) | 358.5250〜358.9750MHz(12.5KHz) | 船舶局は、-16.5MHz。 |
警察無線署活系(II) | 361.1000〜362.2500MHz(12.5KHz) | ディジタル方式のため、VX-7では復調不可。(*3) |
JR/民鉄構内入換作業用無線 | 365.1750〜365.3125MHz(12.5KHz) | |
地域振興用陸上移動無線(移動局) | 367.4500〜367.7375MHz(12.5KHz) | 基地局は、+18MHz。 |
東京都水道局/東京消防庁救急無線(移動局) | 371.1000〜371.4250MHz(12.5KHz) | 基地局は、+24.1MHz。 |
国土交通省MCA無線(移動局) | 371.4750〜371.6750MHz(12.5KHz) | 基地局は、+24.1MHz。 |
特定小電力アナログコードレスホン(親機) | 380.2125〜381.3125MHz(12.5KHz) | 子機は-126.35MHz。 |
地域振興用陸上移動無線(基地局) | 385.4500〜385.7375MHz(12.5KHz) | 移動局は、-18MHz。 |
東京都水道局/東京消防庁救急無線(基地局) | 395.2000〜395.5250MHz(12.5KHz) | 移動局は、-24.1MHz。 |
国土交通省MCA無線(移動局) | 395.5750〜395.7750MHz(12.5KHz) | 移動局は、-24.1MHz。 |
防災行政無線(大都市用基地局) | 410.2125〜411.0250MHz(12.5KHz) | 基地局は、+47.2MHz。一部別用途。 |
新幹線列車無線(I) | 412.0250〜412.3250MHz(12.5KHz) | 移動局。基地局側は多重無線(*1)。一部別用途。 |
小電力通信システム | 413.7000〜413.99375MHz(6.25KHz) | |
新幹線列車無線(II) | 414.1750〜414.4750MHz(12.5KHz) | 移動局。基地局側は多重無線(*1)。一部別用途。 |
複信式特定小電力トランシーバ | 421.5750〜421.9125MHz(12.5KHz) | +18.45MHzのチャネルとペア。 |
単信式特定小電力トランシーバ | 422.0500〜422.3000MHz(12.5KHz) | |
複信式特定小電力トランシーバ | 440.0250〜440.3625MHz(12.5KHz) | -18.45MHzのチャネルとペア。 |
タクシー無線(I) | 450.0125〜450.2375MHz(12.5KHz) | |
タクシー無線(II) | 450.2500〜451.5000MHz(12.5KHz) | 複信方式での使用時は、基地局。移動局は、+8MHz。 |
防災行政無線(大都市用移動局) | 457.4125〜458.2250MHz(12.5KHz) | 移動局は、-47.2MHz。一部別用途。 |
タクシー無線(III) | 458.2500〜459.5000MHz(12.5KHz) | 複信方式での使用時は、移動局。基地局は、-8MHz。 |
放送事業者連絡波(I) | 459.5250〜459.9750MHz(25.0KHz) | 大都市圏では複信方式。基地局は、+10MHz。 |
400MHz帯簡易無線(I) | 465.0375〜465.1500MHz(12.5KHz) | |
防災行政無線(I) | 466.0000〜466.3375MHz(12.5KHz) | |
消防用署活系 | 466.3500〜466.5500MHz(12.5KHz) | |
防災行政無線(II) | 466.5625〜467.3750MHz(12.5KHz) | |
400MHz帯簡易無線(II) | 468.5500〜468.8500MHz(12.5KHz) | |
放送事業者連絡波(II) | 469.5250〜469.9750MHz(25.0KHz) | 大都市圏で基地局が使用。移動局は、-10MHz。 |
特定小電力ラジオマイク(II) | 806.1250〜809.7500MHz(125KHz) | Wide FM |
空港無線電話(移動局) | 830.0125〜831.9875MHz(12.5KHz) | 中継局は、+55MHz。 |
MCA業務無線(I)(移動局) | 834.0125〜837.9875MHz(6.25/12.5KHz) | 中継局は、+55MHz。 |
地域防災行政無線(I) | 846.2500〜847.1750MHz(12.5KHz) | 単信(MCA) |
地域防災行政無線(II)(移動局) | 847.2000〜848.8000MHz(12.5KHz) | 中継局は、+54MHz。 |
地域防災行政無線(III) | 848.8250〜849.7500MHz(12.5KHz) | 単信(MCA) |
MCA業務無線(II)(移動局) | 850.0125〜859.9875MHz(6.25/12.5KHz) | 中継局は、+55MHz。 |
空港無線電話(中継局) | 885.0125〜886.9875MHz(12.5KHz) | 移動局は、-55MHz。 |
MCA業務無線(I)(中継局) | 889.0125〜892.9875MHz(6.25/12.5KHz) | 移動局は、-55MHz。 |
地域防災行政無線(II')(中継局) | 901.2000〜902.8000MHz(12.5KHz) | 移動局は、-54MHz(*2)。 |
パーソナル無線 | 903.0125〜904.9875MHz(12.5KHz) | 単信(MCA)(*2) |
MCA業務無線(II)(中継局) | 905.0125〜914.9875MHz(6.25/12.5KHz) | 移動局は、+55MHz。 |
(*1):新幹線の列車電話は、基地局側が多重無線を採用している。日本最初の移動多重無線であった。
(*2):電波監理当局が、正規に割り当てられた周波数より下のチャネル(いわゆる"地下チャネル")を使用する違法パーソナル取り締まりに躍起になる理由が理解できる。現状では、非常災害時に複信方式の800MHz帯地域防災行政無線はほとんど役にたたない可能性が強い。ディジタル方式(270/260MHz帯)への移行を促す意味もあって、800MHz帯地域防災行政無線は、2011年5月31日限りで廃止される模様である。
(*3):1984年に起きた『グリコ森永事件』と『自民党本部放火事件』をきっかけに警察無線のディジタル化が一気に進んだ。このディジタル化は、秘匿性の確保を主な目的としたもので、周波数利用効率は逆に低下している(例:150MHz帯の基幹系は、アナログ方式が20KHz/chであったのに対して、ディジタル方式は25KHz/ch)。ところが、近年のディジタル無線通信技術の急速な進歩に伴って、5〜6.25KHz/ch程度でのディジタル音声通信に実用化のメドがついた(通信総合研究所)。今後5〜10年のうちに、周波数利用効率の向上を主目的とした陸上移動業務のディジタル化が急速に進むと思われ、最終的にVX-7でワッチできる移動体無線通信は、船舶無線(国際VHF)と航空無線だけになってしまう可能性がある。
146.04 146.08 146.76 146.78 146.80 146.82 146.84 146.86 146.88 147.40 147.42 147.44 147.46 147.48 147.50 147.74 147.76 147.78 152.03 152.11
148.01 149.13 149.15 149.61 149.63 149.71 149.73 149.75 150.07 150.17 150.19 150.27 150.29 150.31 150.33 150.35 150.45 150.47 150.75 151.11 151.15 151.19 151.21 151.23 151.27 151.31 151.43 151.55 151.57 151.59 151.63 151.67 151.69 151.71 151.75 151.81 152.01 152.07 152.09 152.23 152.27 152.57 152.79 153.31 153.43 153.51 153.55 153.59 153.71 153.75 153.83 153.85 153.87 154.07 154.19 154.29 154.31
※消防用無線の周波数を救急用に使用している場合がある。
148.21 148.29 149.69 152.81 153.01 153.53
148.75(全共2) 150.73(全共1) 154.15(全共3)
142.90 142.92
143.72 143.80 143.82 143.84 143.86 143.88 143.90 143.92 143.94
143.96 143.98 146.64 147.72 147.80 147.82 147.84 147.86 147.88
147.90 147.92 147.94 147.96 147.98 148.71 148.93
149.07 149.09
149.19 149.47 149.51
149.83 149.85 150.23
150.37 150.39 150.53
150.79 151.05 151.09
151.25 151.33
151.65 151.77
151.79 152.19 153.29 153.47 153.65 159.17
372.8250 373.1000 373.4250
※143MHz台と147MHz台の周波数は、原則として4MHz間隔でペア。
※赤字周波数は、地域によっては路線バス・索道(ロープウエイ)等に割り当てられている。
※いわゆる"列車無線"のほかに、線路の保守工事用に使用されている場合がある。
これらの周波数をスキャンするときは、あらかじめメモリーチャンネルに登録したうえ、すべてを同一のメモリーグループに所属させ、メモリーグループスキャンを行うのが効率的である。
三才ブックス(株)の"周波数帳"は、業務波ワッチのバイブルともいうべき本だが、上手に検索すれば、インターネット上でも多くの情報が得られる。
たとえば、消防無線に関しては、こんな検索をしてみると、相当数の市町村が周波数を含む通信システムを公開していることがわかる。
総務省では、電波法に基づいて周波数情報を公開しているので、検索してみるのも面白い。『治安維持又は防衛の業務をつかさどる行政機関が開設する無線局』の周波数については省略されているが、移動しない無線局については、原則、その所在地まで分かる。所在地は、原則、緯度・経度表示だが、こちら(i-Point network)では、緯度・経度を入力すると、その付近の地図を見られるから、同時に利用すると便利である。(i-Point network→『PC用入口はこちら』→『ピンポイントサーチ』)
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2002年7月3日 制作 2002年8月24日 修正