メモリーについて(1)

 VX-7には、ユーザーが書き換え可能なメモリが500ch分準備されている。

メモリーチャンネル

 周波数、電波形式、メモリータグ、レピータ情報、トーン・DCS情報、メモリースキップ情報、送信出力を記憶できる一般的なメモリで、全部で450chある。送信と受信、別々の周波数を記憶することができる。

メモリ書き込み

1) VFOモードにする。
2) メモリする周波数を選択する。
3) [F] + [V/M]
4) DIALつまみを回して、希望するメモリーチャンネル番号を選択する。
5) [V/M]

 送受別々の周波数をメモリするときは、次の操作を続けて行う。

6) メモリする送信周波数を選択する。
7) DIALつまみを回して、4)と同じメモリーチャンネル番号を選択する。
8) [PTT] + [V/M]

 書き込み時点で設定されていた電波形式、レピータ情報、トーン・DCS情報、送信出力、周波数ステップも同時にメモリされる。

 メモリータグ(メモリした周波数の名前)は、つぎの方法で記憶させる。

1) メモリモードにする。
2) [F] + [0] → セットモードになる。
3) DIALつまみを回して、"基本設定:11 メモリーネーム設定"を選択する。
4) [BAND]
5) 文字入力を行う。
6) [BAND]

メモリ消去

1) メモリーモードにする。
2) [F] + [V/M]
3) DIALつまみを回して、消去したいメモリーチャンネル番号を選択する。
4) [MON]

メモリ呼び出し

1) メモリーモードにする。
2) DIALつまみを回して、希望するメモリーチャンネル番号を選択する。

メモリ→VFO転送

1) メモリーモードにする。
2) DIALつまみを回して、希望するメモリーチャンネル番号を選択する。
3) [F] + [V/M]
4) [○]

 周波数のみならず、電波形式など、メモリに記憶された情報がすべてVFOに転送される。

メモリチューン

1) メモリーモードにする。
2) DIALつまみを回して、希望するメモリーチャンネル番号を選択する。
3) [V/M]

 メモリ周波数を一時的に可変できる。

 430MHzのアマチュアバンド(FM)は、一般に20KHzステップであるのに対し、業務無線は12.5KHzステップが一般的である。メモリチューンやメモリ→VFO転送を上手に利用すると、ステップ変更等の手間がかからない。

メモリーグループ登録

1) メモリーモードにする。
2) メモリーグループに登録したいメモリーチャンネルを呼び出す。
3) [F] + [V/M]
4) 登録するメモリーグループ番号([1]〜[9])を押す。

メモリーグループ呼び出し

1) メモリーモードにする。
2) [F] + [9]
3)DIALつまみを回して、"2 メモリーグループ"を選択する。
4) [F] + [9]
5) DIALつまみを回して、希望するメモリーグループ(MG1〜MG9)を選択する。
6) [V/M]
7) DIALつまみを回して、希望するメモリーチャンネル番号を選択する。

 メモリーグループ機能は、メモリーチャンネルを9つのグループに分類する機能である。呼び出しに少々手間がかかるが、スポット的に割り当てられた複数の周波数をスキャンする場合などに有効である。 

ホームチャンネル

 50・144・430MHzの各アマチュアバンド用のほか、中波放送帯、短波帯、FM放送帯、TV放送帯、AIRバンド、300MHz業務無線帯、800MHz帯業務無線帯用の合計10チャネルぶんのメモリである。
 ホームチャンネルの特徴は、VFOモード/メモリモードにかかわらず、[HM/RV]を押下することによって、一発で呼び出し可能な点である。さらにDIALつまみを回すと、ホームチャンネルの周波数、周波数ステップなどがVFOに転送され、そのまま可変できる。
 アマチュアバンド用のホームチャンネルには、呼出周波数を記憶させると実用的である。

ホームチャンネル書き込み

1) VFOモードにする。
2) メモリする周波数を選択する。
3) [F] + [V/M]
4) [HM/RV]

ワンタッチメモリーチャンネル

 機能的にはメモリチャンネルと同じであるが、"ワンタッチで呼び出せる"(→マニュアルの表現)メモリである。とは言え、通常の使用状態---たとえば、VFOモード---から、ボタンひとつで呼び出しとはいかない。現実的には、VX-7を"カンタン操作10chトランシーバ"化する手段と言えるであろう。

メモリー呼び出し

1) MAINバンドのモノバンド受信状態にする。
2) [F] + [9]
3) DIALつまみを回して、"3 ワンタッチメモリー"を選択する。
4) [F] + [9]

 以上の操作を行うと、[0]〜[9]のキーを押すだけで、OTM0〜OTM9のメモリ内容が呼び出される。

 なお、ワンタッチメモリチャンネルへの書き込みは、通常のメモリチャンネルと同じ操作である。DIALつまみを回して、OTM0〜OTM9を選んで記憶させる。

プログラマブルメモリースキャン用メモリー

 指定した周波数の範囲をスキャンする際、その下限・上限周波数を記憶させるメモリである。U1・L1 〜U20・L20の20組40chが準備されている。周波数の記憶方法は、通常のメモリーチャンネルと同じである。

デュプレクス通信ワッチのヒント

 アマチュア無線の交信の大半、航空無線、たいていの消防無線や多くの業務用無線では、シンプレックス(simplex=単信)方式が使われる。基地局と移動局が同じ周波数の電波を使用する通信方式である。この場合、基地局と移動局は同時に送信することはできない。いわゆる"トランシーバ方式"で、マイクに向かって送話するときは、送信(PTT or プレストーク)ボタンを押す必要がある。

 これに対して、"モシモシ、ハイハイ"方式の普通の有線電話に接続する必要がある通信、あるいは、レピータという中継局を介して通信を行うシステムでは、基地局と移動局が別々の周波数を使う。このような通信方式をデュプレクス(duplex=複信)方式という。デュプレクス方式は、フルデュプレクス(full-duplex)方式・セミデュプレクス(semi-duplex=半複信)方式に分けられる。フルデュプレクス方式は、移動局・基地局共に同時に送受信が可能なもので、普通の有線電話とまったく同じ感覚で会話ができる。セミデュプレクスは、基地局のみが同時に送受信可能で、移動局は送信ボタンを使用する方式である。

 VX-7で受信可能な無線通信のうち、デュプレクス方式を採用する主なものは以下のとおり。(カッコ内は、移動局周波数と基地局周波数の差)

150MHz帯 救急無線(-4MHz)
146・147MHz台の民鉄列車無線、バス無線など(-4MHz)
国際VHFの一部チャネル(-4.6MHz)
警察無線基幹系(+4.6MHz→ディジタル化されているので、復調不可)
民鉄列車無線・一部の消防無線・バス無線など(送受信周波数間隔は不定)
400MHz帯 JR Bタイプ 列車無線(-16.5MHz)
本四連絡橋公団MCA無線(-16.5MHz)
国土交通省MCA無線(-24.1MHz)
特定小電力アナログコードレス電話(-126.35MHz→VX-7のレピータシフトとして設定不可)
都市高速道路(首都・阪神)無線(-16MHz)
399MHz付近の一般業務無線等(-16MHz)
複信方式特定小電力無線(-18.45MHz)
レピータを介したアマチュア無線の通信(-5MHz)
451MHz付近のタクシー無線の大半(+8MHz)
469MHz付近の放送局業務無線の一部(-10MHz)
800MHz帯 空港無線電話(+55MHz)
mcAccess・JSMR(+55MHz)
地域防災行政無線の一部(+54MHz)
携帯電話(+55MHzもしくは+130MHz→ディジタル化されているので、復調不可能)

 ここに挙げた通信のうち、大半は、基地局から移動局に向けた電波(下り信号)の周波数と移動局から基地局に向けた電波(上り信号)の周波数の差は一定である。

 たとえば、430MHz帯のアマチュア無線レピータは、上り信号は下り信号の5MHz下であるし、救急無線は移動局側が4MHz下である。そこで、周波数をメモリに記憶する際、あらじめ"シフト幅設定"(セットモード基本設定7)と"レピータシフト"(セットモード基本設定7)を正しく設定しておく。こうすることによって、ワッチ中、[F] + [HM/RV]を押すことにより、ワンタッチで移動局側の信号を聴くことができる。なお、この場合、"ARS機能"(セットモード基本設定5)は"OFF"にする必要がある。

 他方、関西地区の民鉄列車無線の大半、一部地区で採用されているレピータ方式の消防無線など(いずれも150MHz帯)は、上り/下りの2つの周波数に規則性がない。この場合、"送信周波数"として、移動局側の周波数を記憶させるとよい。やはり、[F] + [HM/RV]を押すことにより、移動局側が聴ける。

注意

 ここに記載された情報は、私が独自に収集したものです。内容の正確性については保証しません。あなたの自己責任でご利用ください。

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2002年7月3日 制作 2002年7月13日 修正