幅:60mm × 高さ:96mm × 奥行き:28.5mm (突起物を含まず)
質量:約260g (アンテナ・電池パックを含む)
VX-7のつまみ・ボタン類は、以下のとおりである。
最近の電子機器では、"少ないボタンでいかに多くの機能を実現するか"が常に問題になる。マイクロプロセッサの進化に伴って、機能はいくらでも充実できるが、それをコントロールするスイッチ類は、機器の小型化に伴って必要最小限にせざるを得ないからである。
VX-7の場合は、1)[F](ファンクションスイッチ併用、2)キーの長押し、の2つの方法を用いて、それぞれのキーに都合3つの機能を持たせている。
[F]スイッチはPTTボタンの下に位置しており、他のキーと同時に押すタイプである。従って、片手操作は困難である。ただし、SETモードで[F]と[MON]の機能を入れ変えることができる。(この場合は、[MON]に続いて意図するキーを順次押下する。)
テンキーのうち、"0"は"6"の右側に位置している。スペースの都合上、やむを得ない処理だと思うが、私には非常に扱いづらい。やはり通信機器の"0"キーは、"8"の下が定位置であるべきだと思う。それから、従来この種のトランシーバには定番であった[▼]キー・[▲]キーが存在しない。周波数などを1ステップずつ変化させるキーのことだが、ワタシ的にはこれまた一寸不満である。
もっとも、全体としては、旧来のYAESUハンディ機の流れを汲む操作体系であり、YAESUユーザーならばそう戸惑うことはないと思う。
DIALつまみとVOLつまみは同軸式となっている。外側がDIAL、内側がVOLである。
DIALつまみは、適度なクリック感があるロータリーエンコーダであり、VOLつまみにも同様のクリックがある。可変抵抗にクリックがついているのか、あるいは単なる同軸式のロータリーエンコーダで、実際の音量調整は電子回路で行っているのかは不明だ。ただし、VOLつまみの可変(回転)範囲は限定されている。
スケルチ調整はプリセット式になっている。[F] + [MON]でスケルチレベル調整になり、[MAIN](スケルチを深くする)もしくは[SUB](浅くする)キーを押して調整する仕掛けだ。個人的には微妙なスケルチ調整を好むので、これは非常に扱い辛い。DIALつまみを利用して、アナログ感覚で調整できるほうが良いと思う。
※本稿では、キー操作について、以下の要領で表記する。
[HM/RV] : [HM/RV]キーを押すこと。
[F] + [V/M] : [F]スイッチと[V/M]キーを同時に押すこと。
[MON] : [MON]キーを長押しすること。
そのまま押下 | 長押し | [F]と同時に押す | |
[PTT] | 送信 | ← | 一時ハイパワー送信 |
[電源] | * * * | 電源オン/オフ | * * * |
[MAIN] | MAINバンド操作 | デュアル受信オン/オフ | 倍角表示オン/オフ |
[SUB] | SUBバンド操作 | デュアル受信オン/オフ | 倍角表示オン/オフ |
[MON] | スケルチ解放 | ← | スケルチレベル調整 |
[HM/RV] | ホームチャンネル呼び出し | エマージェンシーオン/オフ | リバースオン/オフ |
[○] | (マイキー) | キーロックオン/オフ | 送信出力切り替え |
[BAND] | バンド切り替え(UP) | ← | バンド切り替え(DOWN) |
[V/M] | VFO/メモリモード切替 | * * * | メモリ書き込みモード移行 |
[1] | 数字"1"入力 | ハイパーメモリー1へ登録 | スキャン開始 |
[2] | 数字"2"入力 | ハイパーメモリー2へ登録 | デュアルレシーブ開始 |
[3] | 数字"3"入力 | ハイパーメモリー3へ登録 | TVメモリオン/オフ |
[4] | 数字"4"入力 | ハイパーメモリー4へ登録 | ARTS機能 |
[5] | 数字"5"入力 | ハイパーメモリー5へ登録 | スマートサーチオン/オフ |
[6] | 数字"6"入力 | ハイパーメモリー6へ登録 | スペアナオン/オフ |
[7] | 数字"7"入力 | ハイパーメモリー7へ登録 | チャンネルカウンター開始 |
[8] | 数字"8"入力 | ハイパーメモリー8へ登録 | 盗聴器発見サーチ開始 |
[9] | 数字"9"入力 | ハイパーメモリー9へ登録 | 特殊メモリ |
[0] | 数字"0"入力 | ハイパーメモリー0へ登録 | セットモードに移行 |
アンテナ(SMA)、外部マイク/スピーカ、外部電源の3つ。
JIS保護等級7種防浸型相当の耐水性を実現するため、外部マイク/スピーカ端子と外部電源端子には、分厚いゴムキャップがついていて、端子自体は相当奥まった位置にある。
外部マイク/スピーカ端子は、ネジ込み式の特殊な4極ミニプラグである。通常のイヤホンや従来型(3.5φイヤホン・2.5φマイク)の外部スピーカマイクを接続する際には、オプションのマイクアダプタ(CT-91)が必要である。
VX-7は、専用のリチウムイオン電池(FNB-80LI 7.4V 1300mAh)を使用する。
FNB-80LIは、3.7V定格のリチウムイオンバッテリセルが直列接続になっていると思われ、思いのほか小型軽量である。7.4V
1300mAhといえば、単三型の高性能NiCd電池6本直列に相当する容量であるから、リチウムイオン電池の高性能ぶりが伺える。このリチウムイオン電池、外部電源使用時には、自動的に充電される仕組みになっている。約5時間で満充電できるが、別売の急速充電器(CD-15A)を使用すると約2時間半で充電できることになっている。
VX-7本体の電池端子は2極であり、本体側での複雑な充電制御はおこなっていないようにも思われる。そのためかどうかは知らないけれど、"長時間(7時間)以上外部電源で使用するときは、電池パックを外すように"との注意書きがある。
VX-7には、"非常用"として、単三乾電池2本を使用する乾電池ケース(FBA-23)がオプションとして準備されている。VX-7の電池端子の定格は4〜9Vだから、FBA-23は単なる電池ケースではなく、DC-DCコンバータを内蔵しているのとになる。マニュアルによれば、FBA-23で使えるのはアルカリ乾電池だけとなっているが、試しに単三型のニッケル水素(NiHM)電池をセットしたところ、送受共に動作可能であった。
DC-DCコンバータを内蔵しているので、仮にFBA-23をVX-7本体から取り外しておいたとしても、セットした電池は少しずつ消耗していくことになる。過放電すると乾電池はすぐに漏液するし、NiCd電池やNiHM電池は回復不能のダメージを受ける。"長期間使用しないときは電池を外しておく"のがポータブル機器の基本であるが、FBA-23使用時は特に注意したほうがよい。なお、FBA-23使用時は、送信出力が最大0.3Wに制限される。
外部電源は10〜16V(マイナス接地)だから、自動車のシガーライターから直接給電可能である。端子の形状はFT-205/705/729以降のYAESU標準タイプで、センタープラスである。
VX-7には、12V 500mAのACアダプタ(NC-72A, 受信及び充電専用)が附属しているが、重くてデカいトランス式で、旅行に持っていく場合は、小型軽量のスイッチング方式のACアダプタがオススメである。ただし、5W送信時には2A近い電流が流れるので、容量には十分注意したい。
外部電源を接続する際には、純正外部電源ケーブル(E-DC-6)の使用が推奨されているが、私はEIAJ 電圧区分 IIタイプのDC電源プラグ(外径4.0mm,
内径1.7mm)を流用している。今のところ不具合は起きていないが、真似される方は、自己責任でお願いしたい。
技術基準適合証明番号 | 02KN312 (*1) |
発射可能な電波の形式・周波数 | F2, F3, A3 50MHz帯 F2, F3 144MHz帯 F2, F3 430MHz帯 |
変調の方式 | F2, F3 リアクタンス変調 A3 終段低電力変調 |
定格出力 | 5W |
終段管名称個数 | 2SK3476×1 |
終段管電圧 | 7.4V |
*1:私のVX-7の場合。製造ロットによって異なる可能性がある。
VX-7の主要定格は以下のとおり。(マニュアルより抜粋)
送受信周波数ステップ | : | 5/10/12.5/15/20/25/50/100KHz(BC帯に限り9KHz選択可能) |
周波数偏差 | : | ±5ppm以内(−10℃〜+50℃) |
アンテナインピーダンス | : | 50Ω |
電源電圧(マイナス接地) | : | 7.4V(定格) 4〜9V(電池端子) 10〜16V(外部電源端子) |
消費電流 | : |
受信定格出力時 約200mA(モノバンド), 約240mA(デュアルバンド) 送信時(5W) 約1.6A(50MHz帯), 約1.7A(144MHz帯), 約1.9A(430MHz帯) |
使用温度範囲 | : | −20℃〜+60℃ |
電源オフでも、結構な電流が流れるていることが分かる。
送信周波数範囲 | : | 50〜54MHz, 144〜146MHz, 430〜440MHz |
送信出力 | : | 5/2.5/1/0.05W (FM) 1W(50MHz帯AM, 固定) |
変調方式 | : | リアクタンス変調(FM), 終段低電力変調(AM) |
最大周波数変移(FM) | : | ±5KHz |
占有周波数帯域 | : | 16KHz以内(FM), 6KHz以内(AM) |
マイクインピーダンス | : | 2KΩ(エレクトレットコンデンサー型) |
いわゆる"Jマークつき"なので、アマチュアバンド外送信は不可能。VX-7の"目玉"であるAM送信は、50MHzだけ。"終段低電力変調"というのは聞きなれない名前だが、ブロックダイヤグラムを見ると、リニアアンプとなっている終段にだけ変調をかける方式のようである。取扱説明書には、乾電池でのAM運用時に電池が消耗すると、過変調になる可能性がある旨の注意書きがある。
受信周波数範囲 | : | 0.5〜999MHz |
受信方式 | : | ダブルコンバージョンスーパーヘテロダイン(N-FM・AM) トリプルコンバージョンスーパーヘテロダイン(W-FM) |
中間周波数 | : | 第1 47.25MHz, 第2 450KHz (Main受信部,
N-FM・AM時) 第1 45.8MHz, 第2 10.7MHz, 第3 1MHz (Main受信部, W-FM時) 第1 46.35MHz, 第2 450KHz (Sub受信部 N-FM) |
受信感度(MAIN) | : | 0.5〜1.8MHz 3μV@10dB SN [AM] 1.8〜30MHz 3μV@10dB SN [AM] 30〜50MHz 0.5μV typ @12dB SINAD [N-FM] 50〜54MHz 0.16μV@12dB SINAD [N-FM] 54〜76MHz 1μV typ @12dB SINAD [N-FM] 76〜108MHz 1μV typ @12dB SINAD [W-FM] 108〜137MHz 1.5μV typ @10dB SN [AM] 137〜140MHz 0.2μV@12dB SINAD [N-FM] 140〜150MHz 0.16μV@12dB SINAD [N-FM] 150〜174MHz 0.2μV@12dB SINAD [N-FM] 174〜225MHz 1μV typ @12dB SINAD [W-FM] 300〜350 0.5μV@12dB SINAD [N-FM] 350〜400MHz 0.2μV@12dB SINAD [N-FM] 400〜420MHz 0.18μV@12dB SINAD [N-FM] 420〜470MHz 0.18μV@12dB SINAD [N-FM] 470〜540MHz 0.35μV@12dB SINAD [W-FM] 540〜800MHz 3μV typ @10dB SN [AM] 800〜999MHz 1μV@12dB SINAD [N-FM] |
受信感度(SUB) | : | 50〜54MHz 0.18μV@12dB SINAD [N-FM] 144〜146MHz 0.18μV@12dB SINAD [N-FM] 430〜440MHz 0.2μV@12dB SINAD [N-FM] |
通過帯域幅 | : | 15KHz以上/−6dB(N-FM・AM) 200KHz以上/−6dB(W-FM) |
選択度 | : | 35KHz以下/−60dB(N-FM・AM) 300KHz以上/−20dB(W-FM) |
低周波出力 | : | 200mW以上(7.4V時) 400mW以上(13.8V時) ※いずれも8Ω, YHD10% |
低周波インピーダンス | : | 8Ω |
受信部については、0.5〜1000MHzのワイドバンド受信機(MAINバンド=N-FM, W-FM, AM)と50・144・430MHzの各アマチュアバンドのみに対応したN-FM受信機(SUBバンド)が同一ボディに入っていると考えればよい。このうち、SUBバンドについては、いわゆる"受信改造"が可能である。
マニュアル記載のSpecは上記のとおりなのだが、実際の受信周波数範囲(受信改造後)は以下のとおりであった。
※受信改造については、下記を参考にさせていたがいた。
http://www.otv.ne.jp/~toyo_ota/jyusinn_kaizou/kaizou_top.htm
MAINバンド・SUBバンドの受信回路は、低周波増幅を除いて完全に独立しており、50〜430MHzのアマチュアバンドとその周辺のN-FMに関しては、2波同時受信が可能である。しかし、W-FM・AMに関しては、MAINバンドでのみ受信可能なので、2波同時受信は不可能である。
SUBバンドは、受信改造を施してもアマチュアバンドとその周辺しか受信できない。したがって、300MHz台にある業務無線の2波同時受信は不可能である。VX-7は、鉄道無線(JR
Bタイプ列車無線)の空線信号キャンセラを装備しているが、Cタイプ乗務員無線との同時受信も無理である。
2台の受信機が同居してるわけだから、局部発信器の高調波などによる妨害が現れるのはやむを得ない。マニュアルには、次の表記がある。(単位:MHz)
上記Specから考えると、11.7×nは、W-FM受信部の第二局部発振器の高調波、以下の3つは、MAINバンド・SUBバンドの第一局部発振器の高調波であろう。3.579545×nは、おそらく、マイクロプロセッサのクロックであると思われる。セットモードの特殊設定15に"クロックシフト"という項目があり、万一、目的周波数に妨害が出たときは、クロック周波数を微調整して、これを軽減することができる。
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2002年7月3日 制作 2002年8月18日 修正