MOTOROLA CP10 簡易マニュアル

 CP10は、米国Motorola社の業務用ハンディトランシーバである。シンプルな外観はいかにも業務用という感じだが、手にフィットする柔らかな曲線で構成されたボディは、コンシューマ製品としても十分通用するであろう。

 CP10の操作系は、わずか3つ(PTTを除く)の押しボタンスイッチと電源スイッチ兼用のボリウムつまみだけである。しかし、これで、136〜174MHzで、5KHzおよび12.5KHzステップの任意の周波数で運用が可能である。

 外観から想像するよりずっと軽量だから、ベルトクリップを使って腰にぶらさげておいても、それ程苦にはならない。

 感度の点では、最新のアマチュア向けトランシーバには及ばない。しかし、騒音の多い場所で使うことが多い業務機らしく、スピーカーから流れる音声は、クリアで豊かな音量をもっている。


アマチュア無線用改造

 CP10は、業務用無線機であるから、あらかじめ設定された周波数でのみ運用することが想定されている。しかし、下図のようにマイクロプロセッサのピン1本をGNDに落とすことによって、GP68同様、自由に周波数を設定できる"MHzモード"が出現する。

基本操作

MHzモードとメモリモード

 [F](PTTに内蔵された小さな押しボタン)を押すたびに、任意の周波数に設定可能なMHzモードと60chのメモリ周波数のなかから任意の1波を選択するメモリモードを切り替えることができる。

スケルチ開放

 [F]を長押しすることによって、スケルチ開放になる。

送信出力切り替え

 [F]を押しながら電源を投入するたびに、highパワーモード(3W)とlowパワーモード(0.5W)が切り替わる。lowパワーモード時は、LCDに"LOW"が表示される。

MHzモード

周波数設定

 [△]または[▽]を押すと、周波数が変化する。10KHz台以下の変化はつぎのとおり。

00.0→05.0→10.0→12.5→15.0→20.0→25.0→30.0→35.0→37.5→40.0→45.0→50.0→55.0→60.0→62.5→65.0→70.0→75.0→80.0→85.0→87.5→90.0→95.0

 要するに、12.5KHzを含めて、狭帯域FM通信で用いられている主な周波数ステップすべてに対応する仕掛けである。

 なお、[F]を押しながら[△]または[▽]を押すと、1MHz単位で周波数を変更できる。

セミデュプレクス

 [△]と[▽]を同時に押すと、セミデュプレクスモードになる。LCDに"RPT"が表示される。シフト幅は、-9.995MHzから+9.995MHzまでの設定が可能である。(後述)

シフト幅設定

 [△]と[▽]を同時に長押しすると、シフト幅設定モードになる。[△]または[▽]を押して、希望のシフト幅を設定する。5KHzステップで設定可能である。[F]を押しながら[△]または[▽]を押すと、100KHz単位でシフト幅が変化する。再度、[△]と[▽]を同時に押すと、MHzモードに戻る。

シフト幅確認

 前述のスケルチ開放操作を行うと、LCDには受信周波数とシフト幅が交互に表示される。

メモリモード

 CH01〜CH60まで、全部で60の周波数メモリが準備されている。周波数のほかに、シフト幅も個別に記憶させることができる。したがって、送信周波数と受信周波数の間に一定の関係がないセミデュプレクス(例:148MHz以上のVHF鉄道無線)も、送受信間隔を個別に計算すれば、設定ができる。

周波数の呼び出し

 [△]または[▽]を押すと、メモリチャネルが変化する。[F]を押しながら[△]または[▽]を押すと、メモリチャネルが10単位で増減する。数字のあとに"E"が表示されるメモリチャネルは、周波数が記憶されていない。

周波数の記憶

 あらかじめMHzモードで希望の周波数・シフト幅を設定する。次に、メモリモードに切り替え、[△]または[▽]を押して、記憶させたいメモリチャネルを呼び出す。[△]と[▽]を同時に長押しすると、記憶完了である。なお、いわゆる"上書き"は不可能であるので、記憶させた周波数を変更する場合は、あらかじめ消去操作(後述)を行っておく必要がある。

周波数の消去

 消去したいメモリチャネルを呼び出し、[△]と[▽]を同時に長押しすると、周波数が消去される。メモリチャネル番号のあとに"E"が表示されるようになる。

周波数確認

 前述のスケルチ開放操作を行うと、LCDには実際の受信周波数とシフト幅が交互に表示される。

トーンスケルチ

 電池室の下にあるフィルムを外すと、メイン基板が見える。左下にある8bitのDIP SWで、トーンスケルチの設定が可能である。下表中、"U"はDIP SWを上側、"D"は下側にセットすることを示す。bit8を下側にすると、トーンスケルチがoffとなる。

TONE
(Hz)
1 2 3 4 5 6 7 8
67.0 D D D D D D U U
71.9 U D D D D D U U
74.4 D D D D D U U U
77.0 U U D D D D U U
79.7 D D D D U D U U
82.5 U D D D D U U U
85.4 D D D D U U U U
88.5 U U D D D U U U
91.5 D D D U U D U U
94.8 U D D D U D U U
97.4 D D D U D U U U
100.0 U U D D U D U U
103.5 U D D D U U U U
107.2 U U D D U U U U
110.9 U D D U D D U U
114.8 U U D U D D U U
118.8 U D D U D U U U
123.0 U U D U U D U U
127.3 U D D U U D U U
131.8 U U D U U D U U
136.5 U D D U U U U U
141.3 U U D U U U U U
146.2 U D U D D D U U
151.4 U U U D D D U U
156.7 U D U D D U U U
162.2 U U U D D U U U
167.9 U D U D U D U U
173.8 U U U D U D U U
179.9 U D U D U U U U
186.2 U U U D U U U U
192.8 U D U U D D U U
203.5 U U U U D D U U
210.7 U D U U D U U U
218.1 U U U U D U U U
225.7 U D U U U D U U
233.6 U U U U U D U U
241.8 U D U U U U U U
250.3 U U U U U U U U
(なし) X X X X X X X D

other tips

注意

 ここに記載された情報は、私が独自に収集したものです。内容の正確性については保証しません。あなたの自己責任でご利用ください。

警告

 この無線機をアマチュア用として使用する場合、総務大臣の免許が必要です。また、この無線機は、日本のアマチュアバンドに隣接する業務用の周波数でも電波を発射することができます。不用意に操作すると、業務局に妨害を与え、電波法に基づいて処罰されます。

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2002年4月10日 制作 2002年7月21日 修正