携帯電話は電波を使って音声その他の情報をやりとりしている。けれども、電波は直接目には見えない。『電波が見える』とか『電波が私に語りかけた』なぞとつぶやくのは精神分裂病に特有の症状であるというような話はさておき、ここでは電波検知器を作って、携帯電話機から発射される電波を目で見てみよう。
■材料
発光ダイオード・・・・・・・1
ショットキーダイオード・・・2
ビニール線・・・・・・・・・少々
糸ハンダ・・・・・・・・・・少々材料はたったのこれだけ。あと、道具としてハンダコテのニッパが必要である。
■回路図
D1・D2:ショットキーダイオード
LED:発光ダイオードショットキーダイオードは、小信号用のものなら何でもかまわない。発光ダイオードも何でもいいが、私は秋月電子で売っていた超高輝度タイプのもの(EL383URV-3)を使ってみた。20mA流すと3000mcdで光るという奴。アンテナ代用のビニール線は長さ10cmたらずでOK。
私が作った試作品の写真。
先端部分をアップにするとこんな感じ。
■実際に使ってみる
さて、それではこれで携帯電話から発射される電波を見てみよう。
使い方は簡単。ビニール線を携帯電話機のアンテナに巻き付け、電話をかけるだけ。けれど、こんな実験で通話料を取られてはたまらない。自宅の加入電話にかけて受話器を取らずにおけばいい。携帯電話機からは通話時と同じように電波が発射される。最新型の800MHz帯ディジタル携帯電話機・SO206。
今や貴重品ともなったアナログ式の初代『mova N』。
さすが超高輝度タイプで、光軸方向から見ると眩しいくらいに光る。
なお、ディジタル・アナログ(一部地域を除く)共に電波が十分な強さで届いているときは、混信を軽減し、電池の消耗を減らす目的で送信パワーを自動的に落とす仕組みになっている。
もし、うまく光らなかった場合は、アンテナマークが1〜2本しか立たない場所で試してみるとよい。携帯電話機は安定した通話を確保すべくフルパワーで送信するから、間違いなく光る。(それでも光らなかったときは、ダイオードの極性を再確認のこと。)
■ディジタルとアナログのちがい
さて、この実験を追試された方−−−おそらくはディジタル方式の携帯電話ユーザーだと思う−−−、目を凝らしてよーく見ると発光ダイオードは連続的に光っているのではなく、チカチカと細かく点滅していることにお気づきだろうか。
そこで、これをもっと分かりやすくということで、電波検知器の新バーションを作ってみる。
これが新バージョン。といっても、要するに2本のショットキーダイオードと発光ダイオードの間を数十cmの細い平行ビニール線で延長しただけの代物。発光ダイオードの近くについている丸い物体は50円玉。これは単なる錘だから、500円玉でも10円玉でもいい。セロハンテープで張り付ける。
で、さっきと同じようにアンテナ代用のビニール線を携帯電話機のアンテナに巻き付け、電話をかけ、部屋を真っ暗にする。ちゃんと発光ダイオードが光りますね。で、次に何をするかというと、平行ビニール線の中ほどを持って発光ダイオードの部分をブンブン回すのだ。
それを撮影したのが次の写真。まずはアナログ方式の写真。発光ダイオードは連続的に光ってることがわかる。楕円形になってるのは、回転軸の方向とカメラの方向があってないから。
こちらはディジタル方式。発光ダイオードは短い周期で点滅していることがわかる。
ディジタルカメラのシャッター速度がわかれば点滅の周期も確定できるのだが、私のDC-2Lは全自動なのではっきりしたことは分からない。
実は、現在のディジタル携帯電話機は、20ミリ秒もしくは40ミリ秒の周期(地域や電話の機種によって異なる)で約6.6ミリ秒の長さの短い電波を発射している。
上の例では、光っている円周の長さと消えているところが1対5位だから、私のSO206は40ミリ秒の周期で電波を発射していることになる。
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