栗野岳温泉　南洲館

　栗野岳(1102m)は、姶良郡湧水町にある火山で、いわゆる霧島火山群の西方を構成している。標高約700mの中腹に噴気地帯があり、そこに湧く温泉が栗野岳温泉である。

　栗野町の市街地から1本の坂道を登ること約15分、芳しい硫化水素臭が漂いはじめた頃、旅館の建物が見えてきた。ちょっと古い建物は、湯治棟らしいが、現在は旅館としての営業と外来入浴のみとのこと。

　火山性の温泉らしく、2種類の泉質が楽しめる。高温の湯を利用した蒸し風呂もあり、これらが敷地の中に点在している。

　まず入ってみたのが、竹の湯と名づけられた明礬泉。
　この地方特有の凝灰岩を積み上げて造った浴室で、打たせ湯がある。灰色に濁った湯は、実は泥湯で、浴槽の底には、ねっとりした泥が堆積している。気をつけないと、泥に足を滑らせそうである。加水しているらしいが、それでもその湯は思いっきり熱く、ものの3分もつかっていることはできない。『酸性・含鉄（ＩＩ・III)-アンモニア-硫酸塩泉』という、これまで見たことがない泉質で、口に含むと猛烈な酸味と金属味を感じる。

　次に入ったのが、桜湯。こちらもpHの低い酸性の湯だが、あまりに刺激的な竹の湯に入ったあとでは、非常に温和な温泉に感じられてしまう。

　最後に入ったのが蒸し風呂。スーパー銭湯にある、ミストサウナと同じものだが、こちらは天然の噴気を利用したもので、むせこみそうなほど硫黄臭のなかで、身体をじっくり暖めることができた。

　このほが、宿泊者専用の内湯があり、特に掲示はなかったが、どうやら竹の湯と同じ源泉が使われているようである。

　地元の方の話では、『竹の湯は肌が荒れるから、最後に桜湯に入ると良い』とのこと。竹の湯は、希硫酸につかっているようなものだから、まあ、当然といえば当然なのだが。

　朝夕の食事は、食事処のテーブルで供される。
　期待した以上の豪華な内容で満足したが、宿の性格からすると、少々背伸びしすぎている感じがしないでもない。

　宿の裏手には、もうもうと蒸気を吹き上げる噴気地帯(八幡地獄)がある。

お気に入り指数:★★★★☆