七里田温泉 七里田温泉館


木乃葉の湯 内湯


木乃葉の湯 露天風呂


下湯入り口

 くじゅう連山の東南麓には、水田と里山が入り混じった日本的な農村風景が広がり、そこに暮らす人たちを相手にした温泉浴場が点在している。
 いずれも、観光色の薄い小規模なものばかりだが、温泉ファンにとってのピカイチは、この七里田温泉であろう。

 七里田温泉館(木乃葉の湯)は1998年に開業した温泉センターで、ガラス張りの内湯と、打たせ湯をもつ露天風呂がある。このあたりに多い灰緑色のお湯がかけ流しになっていて、大阪に持ってくればトリプルAの評価は間違いないが、温泉王国大分にあっては、まあ、並のレベルでしかない。

 我々が目指すべきは、下湯と呼ばれる、以前は共同浴場として使われていた建物である。

 温泉館のフロントで入浴料を払うと、鍵が貸与される。いったん敷地を出て案内板どおりに歩いていくと、ブロック造の小屋が見えてきた。
 やや古いネット情報によれば、"今にも潰れかけの老朽施設"とあるが、現在は内外装ともに綺麗に手入れされていて、不快な思いをすることはないだろう。

 浴室の扉を開けると、やや低い位置にこぶりな浴槽があって、既に3人の先客が入浴中であった(それゆえ、肝心の浴室・浴槽の写真がないのはご容赦いただきたい)。

 かかり湯をして、そっと入浴。するとどうだろう。瞬時にして全身の皮膚に泡がつく。これは凄い。

 特筆すべきは、湯の透明度が非常に高いことである。"ラムネ温泉"と称する施設のお湯は、実際には灰緑色になっていることが多い(いわゆる炭酸鉄泉---鉄分が含まれるので、空気に触れると短時間で酸化して濁ってしまう)のだが、大量の源泉がかけ流されるこの施設では、文字通りラムネ---つまりは透明なサイダーにつかっている感覚を体験できるのだ。
 温泉分析書上の遊離二酸化炭素は1113.0mg/Kgで、炭酸泉の規定をやっと満たすに過ぎないが、一般客が楽しめる天然炭酸泉浴場としては、恐らく日本一であろうと確信する。

 体温よりも低いぬる湯のなかで、四肢末梢がじんわり温まってくる炭酸泉特有の浴感を満喫した。

 七里田温泉は、奈良時代の記録も残る古湯で、江戸時代末期には、すでに湯治客相手の宿屋があったのだという。
 明治時代には、旅館や料理屋などが軒を連ねたらしいが、大正時代に開通した県道がやや離れた場所を通り、1939年暮れの大火で14戸が焼失して、往時の賑わいは消えうせた。

 現在、温泉館以外に商店などは見当たらず、のどかな田園風景が広がるのみである。

お気に入り指数:★★★★★★★★(下湯)

施設DATA
温泉名 七里田温泉
施設名 七里田温泉館
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒878-0202 大分県竹田市久住町大字有氏4050-1(→地図)
電話番号 0974-77-2686
公式・参考サイト 七里田温泉館「木乃葉の湯」オフィシャルページ
久住高原観光協会
営業時間 09:00〜21:00(毎月第2火曜日定休)
料金 大人:300円、小人:200円
木乃葉の湯・下湯それぞれ上記料金が必要。両方入浴する場合は、大人:500円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー(木乃葉の湯)
とくになし(下湯)
浴場施設 内湯、露天風呂
駐車 可能
入浴日 2013年06月29日
備考 <0397>

温泉DATA
源泉名 七里田温泉下湯(湧出地:竹田市久住町大字有氏字湯ノ上4059-1)
泉質 含二酸化炭素-マグネシウム・ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉[低張性-中性-温泉]
泉温 36.3℃(気温:10℃)
湧出量 測定せず
知覚的試験 無色、澄明、炭酸味、殆ど無臭
pH値 6.3
ラドン 測定せず
密度 1.0011g/cm3(20℃)
蒸発残留物 2.520g/Kg(180℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 3.330g/Kg
分析年月日 2007年1月17日
情報源 脱衣場の掲示(温泉分析書のコピー)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
リチウムイオン 1.1
ナトリウムイオン 333.7
カリウムイオン 65.9
アンモニウムイオン 0.2
マグネシウムイオン 216.2
カルシウムイオン 195.8
ストロンチウムイオン 0.9
マンガンイオン 0.4
鉄(II)イオン 4.0
陽イオン合計 818.6
陰イオン mg
塩化物イオン 292.1
硫酸イオン 518.8
炭酸水素イオン 1494.4
炭酸イオン 0.2
陰イオン合計 2305.5

非解離成分 mg
メタケイ酸 185.6
メタホウ酸 20.4
非解離成分合計 206.0
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 1113.0
溶存ガス成分合計 1113.0

 



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制作:2013年11月15日 修正:2013年11月16日