人吉温泉　堤温泉

　人吉市街地に点在する、レトロな公衆温泉浴場のひとつ。

　男女別の入り口を入ったところに番台があるが、"賽銭箱"と監視カメラが置かれているだけで、人はいなかった。

　広い脱衣場から、数段の階段をおりたところが浴室の床。その真ん中にある浴槽には、淡いトパーズ色の湯がかけ流しになっている。泡付きはないが、肌にわずかなぬめりを感じる上質の温泉である。

　浴槽の縁は木であるが、底は見事な豆タイル貼り。ところどころに配された、カエデ型のピースに遊び心を感じる。
　壁に掲げられた適応症の掲示も時代を感じさせるが、浴室内に真新しい非常通報ボタンがあって、これを押すと警備会社の係員が駆けつけるという。あとで見たら、トイレも快適な洋式に改装されていた。

　昭和の雰囲気を残しつつ、実はしっかりと手が加えられていて、単なる"ゲロ渋"系の浴場ではないことは確か。

　隣接する酒造会社の広告ばかりが目についたが、あとで調べたら、この会社の社長が"堤さん"であった。

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