みかた温泉　きららの湯

　福井県若狭町にある町営温浴施設。

　JR小浜線三方駅からそう遠くない場所で、役場や保育所などが集まった一角にある。指定管理者は、原発のメンテを生業とする会社だ。

　宮崎駿監督のアニメ『千と千尋の神隠し』に登場する温泉旅館『油屋』をイメージしたという建物は、切妻屋根が幾重にもかさなった不思議な造形。陽が落ちると照明が点き、屋根の影が幾何学的な模様を描く。
　玄関には小さな太鼓橋もある。ここから先は、湯の神々が宿る聖地ということか。

　ロビーは高い吹き抜けとなっていて、浴場は2階。『縄文の湯』と『虹の湯』の2つの浴場は、男女が毎週入れ替えとなる。私が訪れた日は、前者が男湯となっていた。

　浴室内には、タイル張りの主浴槽と木でできた源泉浴槽がある。
　主浴槽には縄文土器をイメージしたオブジェが置かれ、時々お湯があふれ出る。これは、町内で発見された鳥浜貝塚にちなむもの。けれども、その湯は限りなく水道水に近い感じ。
　人気が高いのは源泉浴槽である。2001年に地下1,500mまでボーリングしてくみ出したお湯は濃い食塩泉で、わずかに灰茶色に濁り、口に含むと強い塩味を感じる。

　露天エリアには、源泉岩風呂とほとんど白湯(のように思われる)の露天風呂、サウナ、水風呂、そしてなぜか足湯がある。建物2階にあるので、そう広いものではないが、外気に触れながらの入浴を愉しめる。

　畳敷きの休憩室があるので、湯上りには横になることも可能。うどん程度の軽食やアルコールも提供される。

　観光施設と思いきや、休日夕方に来る客はほとんど地元の人たち。気軽な地域交流の場となっているように感じた。

お気に入り指数:★★★☆☆