鉛温泉 藤三旅館


夕食(一部)


白猿の湯(公式サイトから引用(一部改変))


湯治部


売店

 花巻市街の南西、豊沢川に沿って点在する8つの温泉を総称して、花巻南温泉峡と呼ぶ。鉛温泉は、上流から2番目の温泉で、そこにある一軒宿が藤三旅館である。

 県道から豊沢川の谷に向かって下りたところに、木造3階建ての建物がある。日本秘湯を守る会の提灯がかかった玄関を入ると、元気のいい男性係員が迎えてくれた。

 通された部屋は2階奥の角部屋。豊沢川に流れ落ちる白糸の滝が望める、人気の部屋なのだそうな。1941年築という古い建物だが、廊下部分はきれいに改装されていて、個室感覚で利用できる。

 館内には5つの浴場がある。

 河鹿の湯は、ごくシンプルな内湯。タイル張りの洗い場に、浴槽からあふれ出た湯が流れている。あまり人気がないようであったが、その分、お湯の鮮度は高い。
 桂の湯は、豊沢川を望む半露天風呂。男湯に限って、更に河床に近いところに完全露天の第三の浴槽がある。
 白糸の湯は、前述の滝を望める真新しい展望風呂。銀の湯はこぶりな浴場で、時間を決めて貸切もできる。

 宿の名物である白猿の湯は、夕食前は芋洗い状態だったので、深夜に入ってみることにした。

 地面を深く掘り込んだところに床がある、足下湧出特有の構造。深さ1.25mの小判型の浴槽からは、透明感のある湯が溢れている。あくまでも滑らかかつ清冽な湯に身を委ねていると、湯船の底から、鶏卵大の気泡がボコッと上がってきた。
 浴場に掲げられた掲示によれば、温度調整のために他の源泉からの湯が足されているようだが、これまで私が入った中でも、top10に入る最上級の温泉浴場であろう。

 食事は朝夕ともに部屋食。
 私は獣肉とか川魚が苦手なので、そうした食材が出なかったのはありがたい。代わりに、地元で採れたキノコを使った釜飯が秋を演出している。

 このあたりの温泉宿はどこもそうなのだが、一般的な旅館部のほかに、長期滞在客向けの湯治部がある。

 湯治部に足を踏み入れると、冷たい感じの廊下の両側に客室がずらりと並んでいる。売店に陳列されているのは、観光土産ではなく、缶詰や調味料、菓子や日用品。これはどこかで見た光景だ---と思ったが、古い病院の病棟そのものではないか。

 しかし、よく考えれば、何ら驚くべきことではない。
 温泉入浴が"遊び"の対象となったのは戦後のことであって、それまでは、温泉入浴=病気の治療であったのだから。

 鉛温泉とは珍しい名前だが、番頭さんによれば、『昔、この付近の豊沢川で砂金が採れた。しかし、砂金が採れるとなると冥加金が上がるので、鉛が採れるという話にした。』というのがその名の由来だとか...。

お気に入り指数:★★★★★

施設DATA
温泉名 鉛温泉
施設名 藤三旅館(ふじさんりょかん)
施設の種別 旅館
所在地 〒025-0252 岩手県花巻市鉛字中平75-1(→地図)
電話番号 0198-25-2311
公式・参考サイト 鉛温泉 藤三旅館
社団法人花巻観光協会公式サイト 五感で楽しむイーハトーブ花巻
営業時間 07:00〜21:00(最終受付 20:00)(日帰り入浴)
料金 大人:700円、こども:500円(日帰り入浴)
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー
浴場施設 5か所(本文参照)
駐車 可能
入浴日 2010年09月23日
備考 <0351>
非加水・非加熱

温泉DATA
源泉名 鉛温泉(下の湯))(湧出地:岩手県花巻市鉛字中平61-1)
泉質 単純温泉[低張性-アルカリ性-高温泉]
泉温 50.2℃(気温:5.0℃)
湧出量 約250L/min(掘削・動力揚湯)
知覚的試験 無色澄明にして無味無臭である。
pH値 8.4
ラドン 0.21×10-10キュリー
密度 0.9990g/cm(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.5700g/Kg(130℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.6598g/Kg
分析年月日 2002年1月18日
情報源 脱衣場の掲示・net上の情報
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.0
ナトリウムイオン 167.1
カリウムイオン 2.5
マグネシウムイオン 0.1
カルシウムイオン 14.3
アルミニウムイオン 0.0
マンガンイオン 0.0
総鉄イオン 0.0
陽イオン合計 184.0
陰イオン mg
フッ素イオン 2.5
塩素イオン 59.2
臭素イオン 0.0
ヨウ素イオン 0.0
硫化水素イオン 0.1
硫酸イオン 256.6
炭酸水素イオン 98.9
炭酸イオン 2.1
陰イオン合計 419.4

非解離成分 mg
メタケイ酸 52.0
メタホウ酸 4.4
非解離成分合計 56.4
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.7
遊離硫化水素 0.0
溶存ガス成分合計 0.7

 

温泉DATA
源泉名 鉛温泉(河鹿の湯)(湧出地:岩手県花巻市鉛字中平75-1)
泉質 単純温泉[低張性-アルカリ性-高温泉]
泉温 50.4℃
湧出量 261L/min(掘さく・動力揚湯)
知覚的試験 無色澄明にして、ほとんど無味無臭である。
pH値 8.5
ラドン 3.58×10-10キュリー
密度 0.9987g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.5174g/Kg(110℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.5418g/Kg
分析年月日 2005年4月25日
情報源 脱衣場の掲示・net上の情報
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.0
リチウムイオン 0.2
ナトリウムイオン 138.6
カリウムイオン 2.8
マグネシウムイオン 0.0
カルシウムイオン 10.8
アルミニウムイオン 0.2
マンガンイオン 0.0
総鉄イオン 0.0
陽イオン合計 152.6
陰イオン mg
フッ素イオン 3.8
塩素イオン 51.9
硫化水素イオン 0.0
硫酸イオン 188.4
炭酸水素イオン 79.4
炭酸イオン 6.0
陰イオン合計 329.5

非解離成分 mg
メタケイ酸 55.3
メタホウ酸 4.4
非解離成分合計 59.7
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.4
遊離硫化水素 0.0
溶存ガス成分合計 0.4

 

温泉DATA
源泉名 鉛温泉(白猿の湯)(湧出地:岩手県花巻市鉛字中平75-1)
泉質 単純温泉[低張性-弱アルカリ性-温泉]
泉温 39.0℃(気温:10℃)
湧出量 構造上測定不能(掘さく自噴)
知覚的試験 無色澄明にして、ほとんど無味無臭である。
pH値 7.8
ラドン 1.08×10-10キュリー
密度 0.9986g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.3960g/Kg(110℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.4553g/Kg
分析年月日 2005年4月25日
情報源 net上の情報(温泉分析書)
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.0
ナトリウムイオン 114.1
カリウムイオン 1.0
マグネシウムイオン 0.1
カルシウムイオン 8.7
アルミニウムイオン 0.1
マンガンイオン 0.0
総鉄イオン 0.0
陽イオン合計 124.1
陰イオン mg
フッ素イオン 2.9
塩素イオン 38.1
硫化水素イオン 0.0
硫酸イオン 151.6
炭酸水素イオン 79.4
炭酸イオン 0.4
陰イオン合計 272.4

非解離成分 mg
メタケイ酸 55.2
メタホウ酸 3.6
非解離成分合計 58.8
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 3.8
遊離硫化水素 0.0
溶存ガス成分合計 3.8

 

温泉DATA
源泉名 鉛温泉(上の湯)(湧出地:岩手県花巻市鉛前野34-2)
泉質 単純温泉
泉温 57.0℃(気温:4.3℃)
湧出量 140L/min(掘削・動力揚湯)
知覚的試験 無色澄明にして、無味無臭である。
pH値 8.5
ラドン 0.16×10-10キュリー
密度 0.9990g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.7399g/Kg(130℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.8201g/Kg
分析年月日 2002年1月8日
情報源 脱衣場の掲示・net上の情報
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.0
ナトリウムイオン 198.8
カリウムイオン 3.8
マグネシウムイオン 0.1
カルシウムイオン 23.9
アルミニウムイオン 0.0
マンガンイオン 0.0
総鉄イオン 0.0
陽イオン合計 226.6
陰イオン mg
フッ素イオン 2.9
塩素イオン 73.4
硫化水素イオン 0.4
硫酸イオン 356.7
炭酸水素イオン 81.3
炭酸イオン 3.6
陰イオン合計 518.3

非解離成分 mg
メタケイ酸 59.2
メタホウ酸 6.0
非解離成分合計 65.2
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.4
遊離硫化水素 0.0
溶存ガス成分合計 0.4

 

温泉DATA
源泉名 鉛温泉(桂の湯)(湧出地:岩手県花巻市鉛字中平66番)
泉質 [高等低張性-弱アルカリ中酸性-高低温泉]
泉温 59.1℃(気温:15℃)
湧出量 869L/min(掘削・動力揚湯) 口径75mm 水中ポンプ15Kw
知覚的試験 無色微白濁にして、ほとんど無味であり、微かな硫化水素臭を有する。
pH値 8.5
ラドン 2.34×10-10キュリー
密度 0.9986g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 0.5791g/Kg(110℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.6223g/Kg
分析年月日 2007年10月15日
情報源 脱衣場の掲示・net上の情報
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
水素イオン 0.0
リチウムイオン 0.2
ナトリウムイオン 173.8
カリウムイオン 2.7
マグネシウムイオン 0.0
カルシウムイオン 11.0
アルミニウムイオン 0.0
マンガンイオン 0.0
総鉄イオン 1.6
陽イオン合計 189.3
陰イオン mg
フッ素イオン 5.5
塩素イオン 56.4
硫化水素イオン 0.0
チオ硫酸イオン 0.0
硫酸イオン 215.0
炭酸水素イオン 80.1
炭酸イオン 7.6
陰イオン合計 364.6

非解離成分 mg
メタケイ酸 61.5
メタホウ酸 6.9
非解離成分合計 68.4
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.00
遊離硫化水素 0.00
溶存ガス成分合計 0.00

 


  旅のメモ
 鉛温泉に通じる県道には、かつて路面電車が通っていた。1969年に廃止された花巻電鉄軌道線である。

 当初は馬車軌道として開業、大正時代(1925年)に電車運転を始めたというから、古くからこの一帯の温泉が多くの湯治客を集めていたことが伺える。

 『馬面電車』と呼ばれた極端に車幅の狭い電車は、花巻市内のぁ材木町公園(→地図:mapion)に保存されれいるので、興味のある方は見物されるとよい。


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制作:2010年10月24日 修正:2010年10月24日