日景温泉

　秋田-青森の県境、矢立峠(やたてとうげ)にある温泉。

　大型車が高速で行き交う国道17号線から、暗い山道を行くこと1Km余り。日本秘湯を守る会の提灯を掲げた宿が見えてきた。

　フロントで入浴料を払ったあと、長い廊下を歩いて浴場へ。

　暗い浴室には、硫黄の匂いと汐の香りが入り混じった複雑な臭気が漂っている。ちょうど夕食の時間だからか、広い浴室にいる客は数人だけだ。

　大きな木の浴槽に静かに注がれるのは、白い濁り湯。口に含むと、猛烈な塩味と苦味を感じた。

　源泉温度が低く(一部加熱)、湯船のお湯もほどよいぬる湯である。浴槽の一部は寝湯となっていて、いかにも温泉らしい匂いを嗅ぎながら、ゆったりした時間を過ごせた。

　男女の浴室の間には、小さいながら混浴の露天風呂もある。

　すっかり陽は落ちて、宿の全景や周囲の景色は見られなかった。再訪したい。

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