上山田温泉　上山田ホテル

　上山田温泉は、信州では歓楽色の濃い温泉地として知られているけれど、実はその湯も硫化水素臭を伴ったトリプルA級である。
　その湯をゆっくり賞味しようと、"源泉かけ流し"がウリのホテルに宿をとってみた。

　上山田ホテルは、今年(2009年)、創業90周年になるという老舗。開業当初から"ホテル"を名乗っていて、宴会場や会議室もある。とは言え、客室棟は純然たる温泉旅館の造りで、最上階に大浴場、1階に露天風呂が設けられている。

　何といっても素晴らしいのは大浴場。長方形の浴槽に、わずかに緑色がかった透明な湯がかけ流しになっている。サラリとしや感触の湯だが、イオウの匂いが強く、いかにも温泉らしい入浴を楽しめる。
　露天風呂は、冷たい外気に触れながらの湯浴みとなるが、視覚的な開放感が乏しいのが難点。このほか、貸切露天風呂や、露天風呂付き客室もある。
　公式サイトによれば、これらはすべて加水なしの源泉かけ流し。ホテル全体では180L/分の温泉供給を受けているとのこと。

　会席料理つきの一泊二食が基本だが、本格的なフレンチレストラン"Lapis Lazuli"を併設しているので、温泉とフランス料理という異色の取り合わせの一夜を過ごすことができる。地元の食材をふんだんに使ったコース料理は、派手さはないがどれも美味。ひと風呂浴びたあと、再び洋服を着なければならないのが難点だが、ありきたりの旅館料理に辟易している方にはお勧めである。

　ワイン一本空けてもう一回温泉につかったら、身もココロも大満足で、"夜の街"の探索はまたもやお預けとなった。

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