人吉温泉　人吉温泉元湯

　山あいの小集落にある共同浴場の魅力も捨て難いが、町なかに古くからある温泉浴場も、独特の雰囲気があって好ましい。

　熊本県南部の中心・人吉は、そんな浴場が点在する温泉のまちである。
　初訪問の今回は、じゅうぶんな時間が取れないので、市役所近くにある、その名も『人吉温泉元湯』に行ってみることにした。

　広い駐車場にクルマを置いて、風格ある木造湯屋に向かう。番台で200円の入浴料を払うと、脱衣場から少し下がった位置に小振りな浴槽があるのが見えた。ここに限ったことではにが、九州の温泉浴場はどこも開放的である。

　長い掛樋から浴槽に注がれるのは、滑らかな含食塩重曹泉。細かな湯の花が舞い、御影石張りの浴槽の縁から、静かに溢れていく。
　鹿児島からやってきたという初老の紳士と温泉談義を楽しみながら、まったりした時間を過ごすことができた。

　ネットで検索すると、市内にはほかにもたくさんの温泉浴場がある。いつの日か、市内の温泉巡りをしたいと思う。

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