伊東温泉 東海館


正面玄関


松川側から


大浴場


客室


大広間

 静岡県伊東市にあるもと温泉旅館。

 1997年に廃業したが、1928(昭和3)年に完成した木造3階建ての建物は、昭和初期の温泉情緒を色濃く残しているとして市の文化財に指定され、観光・文化施設として一般に公開されている。

 まずは館内を見学。欄間やガラス戸など、随所に見られる手の込んだ意匠が当時の伊東温泉の繁栄ぶりを今に伝える。
 逆に、廊下や階段は今の感覚からすると随分と狭く、部屋の鴨居も低い。身長175cmの私でも、うっかりすると頭をぶつけそうだ。戦前の日本人は、いまよりずっと小柄だったのかと思う。

 伊東温泉の歴史に関する展示もある。
 江戸初期から、温泉が湧くことが知られていたが、本格的な開発は明治の末から。1938年に伊東線が開通すると、関東方面からの客が一気に増え、そのピークは真珠湾攻撃翌年の1942年。戦時下に温泉地で遊興する人がいたことは驚きだが、開戦当初は、軍需産業に関わった人たちは随分と羽振りが良かったらしい。(宮脇俊三 時刻表昭和史)

 さて、この東海館、いまでも実際にお湯につかってみることができる。温泉に関する文化施設はいくつかあるが、入浴できるところは他に例をみない。
 古い温泉旅館の常として、大浴場は男性用しかないので、現在は時間を区切って男女入れ換えとなっている。(大浴場に入れない場合は、小浴場に案内)

 古い写真と見比べると、タイルは張り替えられているが、湯船の形は昔のまま。古い唐獅子の湯口から注がれるお湯は、加温されてはいるものの、非加水・消毒剤非使用の完全かけ流し。さすがとしか言いようがない。
 戦前の伊東温泉に思いを馳せながら、その静謐なお湯を楽しんだ。

 湯上がりには、ドリンクや甘味で一服できる喫茶コーナーもある。

 温泉旅館の歴史や文化を知るうえでも、貴重かつ異色の施設。オススメである。

お気に入り指数:★★★★☆

施設DATA
温泉名 伊東温泉
施設名 伊東温泉観光・文化施設 東海館
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒414-0022 静岡県伊東市東松原町12-10(→地図)
電話番号 0557-36-2004
参考サイト 伊東観光協会
営業時間 11:00〜19:00
※入浴は、土日祝日と正月3が日、7月第3土曜から8月末日のみ。
大浴場は、11:00〜12:45・15:00〜16:45は男性専用、13:00〜14.45・17.00〜19:00は女性専用。
料金 大人:500円、小人:300円
※見学のみの場合は、大人:200円、小人:100円
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・ドライヤー
浴場施設 大浴場、小浴場
駐車 駐車場なし(徒歩5分ほどの場所に駐車場あり)
入浴日 2008年11月02日
備考 <0305>
非加水・加熱・非循環・消毒剤非使用

温泉DATA
源泉名 松原温泉 松原25号(湧出地:伊東市東松原町478-13)
泉質 アルカリ性単純温泉[低張性-アルカリ性-低温泉]
泉温 26.3℃
湧出量 ---L/min
知覚的試験 ---
pH値 8.6
ラドン ---×10-10キュリー
密度 ---g/cm3
蒸発残留物 ---g/Kg
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 0.376g/Kg
分析年月日 2001年7月30日
情報源 脱衣場の掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
ナトリウムイオン 107.3
カリウムイオン 2.4
マグネシウムイオン 2.5
カルシウムイオン 3.1
陽イオン合計 ---
陰イオン mg
塩素イオン 86.9
臭素イオン 0.2
硫酸イオン 62.7
リン酸水素イオン 0.8
炭酸水素イオン 70.2
炭酸イオン 6.1
陰イオン合計 ---

非解離成分 mg
メタケイ酸 33.1
メタホウ酸 0.8
メタ亜ヒ酸 0.3
非解離成分合計 ---
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 0.0
溶存ガス成分合計 ---

 


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制作:2008年11月04日 修正:2008年11月9日