寺尾野温泉　共同浴場(薬師湯)

　熊本県小国町の小集落にひっそりとある共同浴場。温泉ファン諸兄のWebsiteで絶賛されているので、この機会に訪問することにした。

　国土地理院の2万5千分の1地形図にも温泉マークが描かれているのだが、アクセスには相当手間取った。集落の中を歩き回っても所在がわからず、結局、広域農道(ファームロードWaita)の寺尾野大橋から鳥瞰して、その特徴的な屋根を発見した次第。

　集落に通じる道路から、あぜ道同然の歩道を200mばかり入ったところに、瓦葺きの湯小屋があった。一見鄙びた建物だが、タイル張りの浴場は手入れも行き届き、清潔かつ立派である。

　独立した脱衣場はなく、湯船の見える場所に更衣棚があるタイプ。ステンレス製の"賽銭箱"があるので、100円玉1枚を投じてさっそくその湯を賞味することにする。

　お湯は、このあたりとしてはぬるめの硫黄泉。同じ町内にある奴留湯温泉と似た感触だ。湯口には、黄色い硫黄が析出しており、ほんのり香る硫化水素の匂いを嗅ぎながら、心地よいひと時を過ごせた。

　この種の共同浴場は、お湯は絶品ながら施設はボロボロの、いわゆる"ゲロ渋"系が少なくない。けれども、この寺尾野温泉なら、温泉初心者でも気分よく共同浴場の面白さを体験できると思う。

　管理にあたっておられる組合の皆さんに敬意を表したい。

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