椿温泉 冨貴


夕餉の膳(一部)

 椿温泉は、白浜から10Kmほど先にある保養向きの温泉地である。

 高層建物が目につくが、これはすべてリゾートマンションのようで、一般の温泉ファンが利用できるのは、10軒ほどの小規模な旅館や民宿のみである。その中から、かの松田忠徳氏が絶賛した旅館冨貴に泊ってみることにする。

 休前日にもかかわらず、ネット予約(楽天トラベル)での価格は、1泊2食で9,390円。今どき信じ難い値段で、少しの期待と多くの不安を胸に、17時すぎにチェックインした。

 通されたのは、10畳バストイレつきの部屋。調度は質素だが、窓からは太平洋が一望できる。波も音も聞こえる。なかなかいい。

 浴衣に着替えて、さっそくお目当ての大浴場へ。

 温泉ファン諸氏のサイトで繰り返し紹介されているように、水平線が見える浴室には、中央で仕切られた主浴槽がある。向かって右側が36℃の源泉をそのまま注ぐ湯船、左が若干加熱したもの。いずれも、源泉かけ流しである。
 掛かり湯をして右の湯船に飛び込んだが、一瞬にして肌がぬめぬめになった。仄かに香る硫黄のアロマを嗅いで夢見心地のひとときを過ごし、ふと我に返ると、全身の産毛と陰毛に細かい気泡が付着している。掘削による自家源泉とのことだが、関西屈指の素晴らしい湯だと思う。

 いたく感心したのは、左の加熱浴槽では、肌のぬめりや気泡の付着がまったくなかったこと。ほんの少し加熱しているだけのはずだが、たったそれだけで温泉水の感触は全然違ったものになることを知った。

 これらのほか、浴室の隅に、小さな一人用浴槽もある。どうやらこちらも非加熱源泉がかけ流しになっているようだ。

 少し残念だったのは、法に定められた温泉成分の表示が、古いプラスチック板に書かれた簡単なものだけであったこと。お湯目当てで泊まる温泉ファンも少なくないだろうから、温泉分析書とか、源泉の位置だとか、給湯システムの概要などを示してくれると、きっと喜ばれると思う。

 夕食は大広間で会席料理が供され、朝食は食堂でいただくことになる。値の張る食材は使われておらず、若干チープな印象は免れないが、宿泊料からみれば精一杯のご馳走だ。不満はない。

 多忙な日々から逃避して、ゆっくり息抜きをするには絶好の宿。超オススメ。

お気に入り指数:★★★★★

施設DATA
温泉名 椿温泉
施設名 冨貴
施設の種別 旅館
所在地 〒649-2326 和歌山県西牟婁郡白浜町椿485(→地図)
電話番号 0739-46-0101
参考サイト 白浜観光協会
営業時間 (宿泊で利用)
料金 (宿泊で利用)
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・ドライヤー・バスタオル・タオル・館内着
浴場施設 内湯
駐車 可能
入浴日 2006年9月23日〜24日
備考 <0234>
非加水・非加熱・消毒剤非使用

温泉DATA
源泉名 ---
泉質 単純硫黄温泉
泉温 36℃
湧出量 ---L/min
知覚的試験 "無色透明で微かに硫化水素臭を有する"
pH値 ---
ラドン ---×10-10キュリー
密度 ---g/cm3(20℃/4℃)
蒸発残留物 ---g/Kg
溶存物質総計(ガス性のものを除く) ---g/Kg
分析年月日 ---
情報源 脱衣場の掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
ナトリウムイオン 95.87
カリウムイオン 1.638
マグネシウムイオン 0.511
カルシウムイオン 0.481
アルミニウムイオン 2.200
陽イオン合計 100.7
陰イオン mg
塩素イオン 49.71
水酸イオン 0.272
水硫化イオン 3.966
硫酸イオン 9.818
炭酸水素イオン 118.9
炭酸イオン 11.14
メタケイ酸水素イオン 35.16
メタケイ酸イオン 0.106
陰イオン合計 229.1

 


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制作:2006年9月27日 修正:2006年10月1日