浅間温泉　よしの湯

　浅間温泉は、松本市街の北にある温泉地。7世紀に開湯されたという長い歴史がある。
　巨大温泉旅館から民宿まで、大小様々な宿泊施設が軒を連ねているが、"いい湯を賞味するなら小さな旅館"という原則に従って、部屋数10のこの宿をネットで予約した。17時まえにチェックイン。さっそく、ひと風呂浴びることにする。

　浴場には、タイル張りの浴槽がひとつあるだけ。露天やジャグジーもなければ眺望もない。
　けれども、湯船の縁から洗い場に滔々と溢れる湯をひと目見れば、温泉ファンには、それが極めて上質の温泉浴槽であることがすぐに理解できると思う。

　さっき、玄関の靴箱には履物がなかったから、恐らく私が"一番風呂"の栄誉にあずかったに違いない。ほのかに硫黄(硫化水素)臭を帯びた湯は、あくまでも透明かつ清冽なもの。湯船に身を沈めると、その湯がざざ〜っと溢れ出る----ああ、何たる贅沢か!

　食事は、食事処でいただくシステム。
　夕食では、先付けや刺身、煮物などが供されたあと、メインとなる信州牛のしゃぶしゃぶが登場する。しばしば目にする固形燃料を使った小鍋と違い、肉も野菜もボリウムがあって大満足した。馬肉だの、蜂の子だのという信州の名産品が出なかったのもありがたい。

　浅間温泉では、いくつかの共同浴場が旅行者にも開放されている。いずれも源泉かけ流しで、極上の湯が味わえるが、敢えて外湯に行く必要がないすばらしい内湯旅館であった。

　また、泊まりたいと思う。

お気に入り指数:★★★★☆