加田の湯

 三瓶山とその周辺には、炭酸ガスと鉄分、カルシウムを多く含む温泉が多い。
 島根県飯南町にある加多の湯もそのひとつ。2004年6月にオープンしたばかりの新しい施設だが、源泉かけ流しであるときいて、はるばる訪れた。

 中国道三次ICから、松江方面に約40Km。広島-島根の県境に位置するまちは、すべてが、深い雪に埋もれているかのようであった。
 国道54号線から脇道に入ると路面は圧雪。両側には、人の背丈ほどもある雪の壁が出来ている。私の車は4WD+全輪スタッドレスだから平気だけれど、夏タイヤならチェーンは必須であろう。雪道をしばらく走ると、左手に質素な木造の建物が見えてきた。

 コンパクトな浴室には、縁だけ木張りの主浴槽があり、土色の濁り湯が満たされている。開業後2年を経ていないが、浴槽のまわりには既にびっしりと沈着物がついていて、その湯の成分の濃さを伺い知ることができる。
 冷鉱泉だから当然加熱しているが、余程上手な湯の扱い方をしているのだろう。湯口から注がれる湯を口に含むと、強い金気と共に舌先にピリピリした炭酸泉特有の刺激を感じた。湯口の反対側にはスチーム式の加熱装置がついていて、泉質を極力変えずに湯船の湯温を一定に保つ工夫がなされている。

 露天風呂はないが、広い窓ガラスを開けると、いわゆる半露天風呂に近い開放感が得られる仕掛け。小さなサウナと水風呂は、遠来の温泉ファンには余計だが、地元の人たちには人気が高いようであった。

 私が訪れた時には既に閉店していたが(営業時間:11時〜15時)、"ごんべえ茶屋"と称する小食堂があって、地場の農産物を使った料理が食べられるとのこと。

 地場産品の販売コーナーがあるほか、壁には地元の生活ぶりを紹介した写真パネルが飾られている。質素な施設ながら、地元の人たちの心がこもった運営がなされている、好ましい温泉だ。今度は、新緑の時期にでも訪れてみたい。

お気に入り指数:★★★★☆

施設DATA
温泉名 加田の湯
施設名 加田の湯
施設の種別 日帰り入浴施設
所在地 〒690-3402 島根県飯石郡飯南町下来島707-2(→地図)
電話番号 0854-76-3357
参考サイト 飯南町
営業時間 10:00〜20:00(最終受付 19:30、毎週月曜日定休)
料金 大人:300円、小中学生:150円、幼児:無料
無料の備品 ボディーソープ・シャンプー・鍵つきロッカー・ドライヤー・綿棒
浴場施設 内湯、サウナ、水風呂
駐車 可能
入浴日 2005年1月8日
備考 <0194>

温泉DATA
源泉名 (湧出地:赤来町健康増進施設 島根県飯石郡赤来町大字下来島707番地2)
泉質 ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・塩化物泉[低張性-中性-冷鉱泉]
泉温 14.3℃(気温:12.7℃)
湧出量 ***L/min
知覚的試験 無色、透明、微炭酸微鉄味、微土臭
pH値 6.6
ラドン 2.11×10-10キュリー
密度 1.0031g/cm3
蒸発残留物 4.22g/Kg(110℃)
溶存物質総計(ガス性のものを除く) 6.40g/Kg
分析年月日 2003年5月8日
情報源 脱衣場の掲示
1Kg中の成分

  
陽イオン mg
リチウムイオン 2.16
ナトリウムイオン 1100
カリウムイオン 31.0
マグネシウムイオン 160
カルシウムイオン 360
ストロンチウムイオン 3.57
バリウムイオン 0.15
マンガンイオン 0.58
鉄イオン 12.0
陽イオン合計 1669.5
陰イオン mg
フッ素イオン 1.1
塩素イオン 600
臭素イオン 1.4
硫酸イオン 24.0
炭酸水素イオン 3900
陰イオン合計 4526.5

非解離成分 mg
メタケイ酸 133.9
メタホウ酸 72.2
メタ亜ヒ酸 1.77
非解離成分合計 207.9
溶存ガス成分 mg
遊離二酸化炭素 924.0
溶存ガス成分合計 924.0

 


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制作:2006年1月10日 修正:2006年1月14日