鹿野温泉　山紫苑

　鹿野は、鳥取市西郊の静かな城下町である。

　1954年に開発された温泉が湧いており、吉岡温泉とともに国民保養温泉地に指定されている。
　数軒の旅館と国民宿舎があるが、後者の大浴場がかけ流しであるときいて、訪ねてみた。

　田んぼの中に、鉄筋2階建ての、いかにも国民宿舎然とした建物があった。フロントで入浴料:400円を払い、大浴場へ。

　湯気が立ちこめる浴室には、タイル張りのシンプルな浴槽があって、透明なお湯が溢れている。吸い込み口らしきものは見当たらず、『かけ流し』の宣伝文句に偽りはない。源泉温度が高く、若干加水しているとのことだが、肌に優しいなめらかな湯である。

　アルミ製の素っ気ないドアを開けると、露天風呂がある。広大な庭園を望む岩風呂で、快適な入浴が楽しめた。

　このほか、新館4階には、展望風呂がある。周囲に高い建物がないので、眺めはなかなかのものだが、気泡発生装置がお湯を引っ掻き回しており、ちょっと落ち着かない。

　約1時間の湯浴みであったが、普段着の入浴客がひっきりなしにやってきた。宿泊客らしい人の姿は皆無で、昼間は実質的に日帰り入浴施設として営業している感じだ。

　これだけの内容で入浴料400円とは、かなり割安と言える。

　鹿野温泉には、別に公営日帰り入浴施設(ホットピア鹿野)もあるが、こちらは循環式であるとのこと。

お気に入り指数:★★★★☆