渋温泉　小澤屋旅館

　渋温泉に、巨大温泉旅館はない。
　石畳が敷かれた通りには、小さな旅館や土産物屋が軒を寄せ合い、外湯をめぐる宿泊客の下駄の音が響く。古くからの温泉街の情緒をそこここに感じる温泉地だ。

　小澤屋旅館は、その温泉街の西端にある、昭和の匂いを残す木造モルタル3階建ての小規模旅館だ。3連休直前、ネット上で予約した。

　いわゆる内湯旅館で、男女別に2つの浴場がある。
　このうち、男湯にはタイル張りのひょうたん形浴槽があり、わずかに灰褐色に濁った湯がかけ流されている。かすかに硫黄臭を漂わせた湯で、横湯川沿いにある複数の源泉から得た混合泉なのだそうだ。口に含むと、かなり強い金気を感じた。

　女湯は、別の源泉の湯を使っており、男湯とはまた違った感触なのだそうだが、残念ながら2つの浴場の間で男女の入れ替えはない。

　夕食は宴会場でいただくシステムだったが、写真のごとく、お膳に載り切らないほどの皿が並んだ。

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